ネットで復活?!こちらスミス開発室


形状記憶チタンアームスピナーベイト (その1)  (その2)



これまでのあらすじ

 ワイヤーの問題をなんとか解決したと思ったら、今度はブレードに新たな課題が浮上。
 巻き心地と広角バイブレーションという点では非常に満足できるレベルに仕上がったものの、スローリトリーブでの限界性能が納得できず(おそらく違いを見分けられる人は少ないだろうというレベルでしたが)再度ブレードも検討することに・・・



<ただいま開発中!形状記憶チタンアームスピナーベイト・その3>


● 最高のブレードを目指して

 スローリトリーブでもしっかり水を掴むものにするには、ブレードのカップを深くすれば解消します。でもそうするとバイブレーションがタイトになってしまう。これでは当初のコンセプトとはかけ離れてしまいます。ですから、別の方法を模索するしかありませんでした。
 スローリトリーブでブレードが倒れ気味になってしまうのは、いうまでもなくその自重が関係しています。ですから、これを軽くしてやることが必要でした。もちろん、サイズダウンさせずに、です。

 但し、軽けりゃ〜いいのか?っていうとそうでもない。ブレード素材の比重までが関係してくるのです。

 例えば、軽いブレードの最右翼として、マグネシウム製のブレードがあります。これはスピナーベイト用のブレードではなくて、ライギョ用フロッグのオプションパーツとして市販されているもの。これは回転させるためのものではなく、フロッグに装着し(もちろん軽いので浮力は犠牲とならない)フラッシングでアピールさせるためのものです。

 仮にこれをスピナーベイトに装着すると、一応は回転するのですが、引き抵抗がまるで無いものになってしまいます。
 要は、ある程度比重のある素材のものである必要性があるわけです。

右下のものがマグネシウム製(無塗装)
アルミよりも軽いブレード

 そんなわけで、やはり結局は真鍮素材に行きつきました。そして、通常は0.5〜0.6mmといった厚さのものが用いられるのが一般的ですが、今回に限ってはこれを0.4mm厚のものを採用する結果となりました。

 但しこの0.4mm厚のブレード、過去にも採用を検討したことがありましたがその際にはボツとなっていたもの。小型のブレードならまだしも、ある程度のサイズのブレードに用いるにはちょっと耐久性に難アリと思われたからです。正直な話、ミスキャスト等で曲がってしまう恐れもあるし、手でも比較的簡単に曲げられます。

 しかし、今回のスピナーベイトのコンセプトを具現化するにはコレしかない!ということで今回は採用に踏み切りました。
 性能面において、このブレードはまさしく最高の出来映えとなっています。広角バイブレーション、それに伴うしっかりとした引き抵抗、立ち上がりの早さ、スローリトリーブでの限界性能・・・全てに合格点を出せました。まさに今回のスピナーベイトのための、スペシャルブレードです!!


● ラバースカート、そのこだわりは

 スカートはもちろんハンドタイ。でもハンドタイにこだわったというよりは、こだわったのはその本数。なぜなら、あまりにスカートの本数が多いものはそれに比例して抵抗も大きくなり、アッパーアームのバイブレーションを相殺してしまうからです。
 ベストな本数を追求した結果、今回のモデルには約30本強という結論に達しました。

 そして、不用意に柔らかすぎるスカートはもってのほか、適度なコシのあるスカートを採用しています。
 たまにあるでしょ?やたら細くて柔らかいスカートが付いてるスピナーベイト。引いてみるとペッタンコですよね、あれ(笑)。

プロトモデル


● いよいよ完成間近。最終段階です

 もちろん、このスピナーベイトを開発するにあたっては、他にもいろいろな部分にスミス流のコダワリを凝縮させて詰め込んでみました。でもそれを書き出したらキリがないので、この辺にしときましょう。
 後は、このスピナーベイトを使ってくれた方が「おっ、こういうことなのか?」というかたちで実感してもらえたらうれしいですね。とにかく、使い込んでいただきたいです。

 現在はほとんど仕様も確定し、最終チェックの段階に入っています。4月には発売できる・・・かな?
 2月に入り、フィールドテストでもかなりの釣果を叩き出しています。






(2002.5 追記)

 こうして開発、発売されたのが形状記憶チタンアーム採用の自信作「T.A.BEAK」。その完成度はぜひ手にとって確かめていただきたいです。


Ryuichi Ikejima





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