『9〜10月 水郷各所釣行』


  池島 竜一(SMITH STAFF)



9月16日 利根川、常陸利根川

 今年の夏は長かった。暑さが苦手な私としては秋の訪れを心待ちにしていたのだが、9月半ばを過ぎても一向に衰えを見せようとしない暑さには心底ウンザリしていたところだった。でもそれは、水温が30度にまで達してしまっていた水郷のバス達とて同じことだっただろう。

 9月16日、暑さはさておきマイボートの中間検査の関係でV6マリンさんまでやってきた。ピーカンの晴天であれば用事を済ませて帰るところだが、この日の天気予報は曇り時々雨とのこと。スケジュールの都合上短時間しか出来ないが、久しぶりにマイボートにタックルを積み込み利根川を目指すことにした。

 が、この日のスタート時、ボートトレーラーにハチの巣が出来ていたりエンジンの掛かりが悪かったりと波乱の予感。特にエンジンに関しては遠方まで移動してから不調になってしまうとレスキューを呼ぶことになってしまうので、朝はひとまず近場(常陸利根川)で釣りをし、様子を見ることにした。しかし29度を超える水温にまるで釣れる気がしない。

 幸いエンジンの調子も復活した様子だったので、予定時間を大幅にオーバーしてしまったが利根川を目指した。

 ここ数日、水郷界隈ではゲリラ豪雨が頻発していた。降る範囲は限られているものの、その降り方はまさしく滝のようで、豪雨そのもの。時には雷を伴う場合も多く、それに遭遇したら即避難を強いられる。霞ヶ浦水系でTOP50のプリプラクティスをこなしていた選手の人達も連日発生していたこのゲリラ豪雨にはかなり参っていたようだ。この日も厚い雲が次々と押し寄せてくる中、ゲリラ豪雨への警戒を続けながらの釣りとなった。

 しかしこの曇天は釣りにはかなりプラスになると判断。風も微風で申し分ない。私の狙いは下流域のアシ際。水深は激浅で、朝もしくは曇天・雨天限定のポイントと言ってよい。

厚く黒い雲の下、カーテンのように見える
場所はゲリラ豪雨に見舞われている


 まずはサウンドシャワーバズで広く探っていくがヒットがない。しかしこの状況下でトップに出ないはずはないと思い、ラインに結んだのは利根川で滅法強いチャグポップ。決して遊び半分でこのルアーを選んでいるわけではなく、利根川ではポッパーがトーナメントのウィニングルアーとなったりもするほど、スプラッシュ系のポッパーが効く。
 利根川ではイナの群れが岸沿いの水面付近を徘徊しており、これが何らかの拍子で驚いたりするとチャプッ!と水音を立てて逃げる。この水音がバスの捕食スイッチを入れることが多いようで、チャグポップのスプラッシュ音はその音に極めて近いものと考えている。

 しかし私が狙っているアシ際は激浅であるためバスボートは間近まで接近できない。水位にもよるがこの日は20m以上接近するとエレキが底を擦ってしまっていた。本当はなるべく接近してチャグポップをアシ際にタイトに落としたいのだがそれが出来ない。
 しかもうっかりチャグポップをアシに引っ掛けようものなら、それを回収しに行くのはかなり困難。無理をするとボートが座礁しかねない。フロッグだったら気にせず投げるところだが、チャグポップを20m先のアシ際にタイトに落とすというのはなかなか難易度の高い、しびれる釣りだった。


 結果的に、アシ際よりも手前にルアーが着水してしまうこともしばしば。そして余所見をしながらチャグポップを動かしていると、「ドバァッ!」という激しい水音が聞こえてきた。

 私が狙っているエリアは魚っ気が多く、あちこちでハクレンやボラ、キャットフィッシュなどが跳ねているので、てっきりボートの近くで何かが跳ねたのかと思ったのだが、次の瞬間にツアラーSTC-60FMLが引き絞られ、ルアーへのヒットと知る。

 38cmとまずまずのサイズをキャッチ。今日はポッパーが効く日だと確信する。


 続いて、アシ際ギリギリに着水させることに成功したチャグポップを軽く首振りさせると、真下からグッドサイズがもんどりうってチャグポップを咥え込んだ。これもサイズが良く、44cmと納得のコンディション。



 あいにく同じエリアを流すボートが増えたのと、時折晴れ間が出てくるようになったためアシ際を止めテトラ撃ちにスイッチ。しかしバイトはなく、さらに風が強くなったり、水位が低下してきたりと利根川で釣りを続けるには状況が悪化してきたためこの日の釣りを早々に切り上げた。

 幸い、私はゲリラ豪雨に遭わずに済んだのだが、同じ利根川の、ほんの数km上流では視界が奪われるほどの猛烈な雨が降ったとの事だった。ポイント選択次第では自分も豪雨に見舞われていた可能性はあったわけで、今後は避難場所の想定や早目の撤収判断などを念頭に置きながら釣りをする必要があると痛感した。


9月30日 霞ヶ浦

 この日はWBS所属のスミスサポートプロ、出村プロのボートに同船させていただいた。これは私が以前から希望していたものだったのだが、あいにく台風17号が徐々に東海〜関東に向けて接近中。おそらく午前中しか釣りは出来ないものと思われたが、かえって時間制限があった方が現役トーナメンターのシビアなゲームプランが見れるかもしれないと思った。


 結果的にこの日はシャローが思わしくなく、メジャー場所での浚渫の釣りがメインとなった。私も出村プロも、浚渫でのヘビーキャロライナリグ用ロッドには、新発売となったツアラーV-SpecのTVC-70Hをチョイス。
 ヘビキャロの操作方法という面において、出村プロはスローにリグを操るタイプの人で、私はリアクション効果を狙ったロッド操作をするタイプだが、両名共にこのロッドの操作性の良さといった点で意見が一致した。

 私はTVC-70Hを用いたヘビキャロで1本キャッチ。一方、魚が浮いていると判断していた出村プロはバイブレーションプラグで見事なキロフィッシュをキャッチした。



 しかし台風の接近自体は間違いなく、常に「荒れ始め」を警戒しながらの釣りとなった。ところが実際は午前中は非常に穏やかな天候で、天気予報を聞いていなかったら台風が接近しているなんて思いもしなかったはず。そんな中でも風に敏感になるのは当然のことだが、出村プロは常に気圧を確認しながら状況判断していた。

 そして昼頃、風が吹き出したのと同時に気圧が下がり始めたのを察知、すぐに大山スロープに戻った直後から急激に荒れ始めた。まさにギリギリのタイミングで、この読みの正確さには驚いた。出村プロのみならず、この日に出艇していた他のWBSプロもほぼ同時のタイミングでスロープに戻ってきていたのはさすがとしか言いようがない。


10月6日 利根川

 北浦・霞ヶ浦水系はJB・TOP50最終戦が開催中。ということでこの日は利根川に向かった。ここのところ水温は一気に下降し22度台。水の色はうっすらと白濁しており、あまり良い印象はしなかった。

 この日も下流域のアシからスタート。半月前にはチャグポップで良い思いをしたが、この日は少し強めに風が吹き付けていたこともあってかトップに反応する魚はいなかった。

 テストがてら選択したのは、現在川又プロと共に開発を進めているプロトタイプのクローワーム。3/16ozテキサスリグで使用し、アシ際にフォールさせたところで喰ってきた。43cm。まだ納得できる完成域に達していないが、年内には完成域に達し、来シーズンには発売出来ることと思う。


 しかし、アシ際での続くヒットはなく、何気ない護岸沿いから流れ込んでいるドレインにラビッシュを投げると元気のいい30cmクラスがヒットしてきた。この界隈では昨夜もまとまった雨が降ったようで、その雨水が流れ込んでいる場所がいくつかあった。しかしヒットはその1発のみで、パターン化させるには程遠い。

 続いてテトラを二箇所ほど周り、BFシュリンプのダウンショットリグでじっくりと攻めたが、2バイト1フィッシュと冴えない。


白濁した本流の水に茶色い水が流れ込んでいた

テトラ帯。この日は芳しくなかった


 陽が上がっているので可能性は薄いと思いつつも、どうせ続かないのならとことんアシ撃ちをしようと思い、ブレイクの近いアシ帯にボートを寄せた。

 まずは定番のファットイカを撃っていくがバイトはない。アシ自体の奥行きはないし水深も浅いのでわざわざファットイカを使う必要もないかと、ベイトフィネスタックルでイカ4インチFSを撃っていく手法に切り替える。するとすぐに1本キャッチできた。

 ファットイカでは「ちょっと強いかな?」と感じられるスポットでは、イカ4インチFSが効くケースは決して少なくない。シルエットの小ささもさることながら、ファットイカよりもスローに落とせる点がいい。そして何より、こんな軽いノーシンカーワームを普通にピッチングで撃っていけるベイトフィネスタックルにはちょっと驚きだ。


日当たりの良過ぎるアシ際なので期待薄だったが

ベイトフィネスタックル+イカ4インチFSの組み合わせ


 その後は風が強まり、風の当たるシャローにスピナーベイトを巻きに行く。ラビッシュで1本掛けたがバラしてしまった。そうこうしているうちにまた空に厚い雲が広がってきた。明らかに局地的な豪雨をもたらす積乱雲で、こうなるとあまりのんびりしてはいられない。

 ここで最後、と入った小さなクリークではファットイカで喰わせるもカバーに化けてしまった。ちょっと締まらない終わり方だが、これ以上釣りをしている余裕はなく、急いでV6マリンまで戻った。幸い、雨が降り出すまでに片付けを完了し、ボートカバーを掛けることが出来た。案の定、夜は激しい雨となった。


 アシ際でのテキサス、ノーシンカー、スピナーベイト、そしてテトラのダウンショットと、いずれも単発のヒットを寄せ集めたような釣果となってしまった。裏を返せば、あまり特定の釣り方に固執する必要のない状況だったのかもしれない。但し、晩秋〜初冬と季節が進めば、おのずと場所も釣り方も限られてくることだろう。

 果たして自分が季節の進行にどこまで付いていけるか?現在の釣り場の状況から察するに決して容易でないことだけは間違いないが、季節的な魚の動きを想像しながら場所を絞っていくプロセスが自分はたまらなく好きだ。時間の許す限り、フィールドでロッドを手にしていたいと思う。


【使用タックル】

ロッド ツアラー STC-60FML
リール ABU REVO ELITE
ライン マシンガンキャスト 10lb.
ルアー チャグポップ

ロッド ツアラー STC-65FM/HYBG
リール ABU REVO STX
ライン マシンガンキャスト 12lb.
ルアー ラビッシュWT3/8oz、コーリングアップSP

ロッド ツアラーV-Spec TVC-70H
リール ABU REVO ELITE CB-L
ライン FCスナイパー 12lb.
ルアー バルキーパワーホッグ3インチ(ヘビキャロ)
タングステンバレットシンカー5/8oz、キールバランスフック#1

ロッド ツアラー STC-68TX
リール ABU REVO ELITE CB-L
ライン FCスナイパー 12lb.
ルアー クローワーム・プロト(テキサスリグ)
タングステンバレットシンカー3/16oz、キールバランスフック#2/0

ロッド ツアラー STS-60FW
リール ABU REVO NEOS 2500S
ライン FCスナイパー 4.5lb.
ルアー BFシュリンプ(ダウンショット)
3gシンカー、キールバランスフック#4

ロッド ツアラーV-Spec TVC-65ML
リール ABU REVO LTX-L
ライン FCスナイパー 8lb.
ルアー イカ4インチFS(ノーシンカー)
キールバランスフック#1

ロッド ツアラーV-Spec TVC-70H
リール ABU REVO ELITE CB-L
ライン FCスナイパー 12lb.
ルアー ファットイカ(ノーシンカー)
スゴイフック#5/0

偏光グラス α-sight 50 シューティングレッド



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