『4/21 水郷各所釣行』


  池島 竜一(SMITH STAFF)



陸の上では桜のシーズンも終わりすっかり春という雰囲気だが、霞ヶ浦水系の大場所(霞ヶ浦、北浦、外浪逆浦、北利根川、常陸利根川)で安定してバスが釣れ始めるようになるのは4月22日前後からだと思っている。
自分はかれこれ30年ほど霞ヶ浦水系でバス釣りをしてきているが、魚の個体数が多い時代であっても春先はさほど釣れるわけではなかった。それがある日を境に劇的に釣れるようになるのが「4月22日」だったのだ。なお、自分の場合は水温よりも暦(=日照時間)を重視している。

現在はバスの個体数が激減したので釣れ始めを実感することが難しくなったのだが、それでもこの時期に状況が大きく変わるものと信じて釣りをしている。


4月21日 水郷各所

自分は冬の間はバスボートで湖上に繰り出すことをしない。常陸利根川に駐艇している愛艇とも久し振りの対面となった。

準備を済ませ7時に出船。辛うじてモーニングバイトが狙えるかもしれないと思い、常陸利根川のハードボトムエリアでクランキングを始めた。水温は17度台。


水深1.5mのトレースラインでディプシードゥ2を引いていたところでズシッと重くなるバイト。魚は首を振りながら力強く沖方向に向かって走っていく。

てっきりキャットフィッシュがヒットしたものと思い込みガッカリしながらファイトしていたものの、魚体が見えた瞬間にグッドサイズのバスであるとわかり、一転して慎重なファイトとなった。フックがリアしか掛かっていなかったのでなおさらだった。


無事にネットに収めたのは46cmのグッドサイズ。いきなりキャットフィッシュのヒットで意気消沈かと思いきや、最高のスタートダッシュに歓喜した。


良いスタートダッシュに恵まれたものの現実はそう甘いものではなく、続くヒットが得られぬまま午後を迎えた。この日は4月だというのに真夏日で午前中は流れる汗をタオルで拭いながらの釣りだったのだが、昼近くになると南風が強まったことで体感的には暑さから解放された。

ただ南風が予想以上に強くなり、風下は波がザブザブでボートをステイさせるのも厳しくなった。狙えるエリアが限られてしまったのは予定外だった。


時刻は14時を回った。強い陽射しの下では回遊系の魚も一段深いレンジにいるだろうと予想してディプシードゥ3で水深2〜2.5mレンジをトレースしているところでヒット。産卵後の痩せ気味の個体ではあったが43cmをキャッチすることが出来た。この日の釣果は2尾で終わった。



この日バスを手に出来たエリアには共通点があった。川筋のハードボトムであることに加え、比較的透明度がありシラウオの群れが多くいたこと。そして驚くべきは鯉の群れが浅場でシラウオを盛んに追い回していたことだ。

あまりにも多くの鯉がシャローをウロウロしていたのでてっきり産卵場(=アシ)を求めて彷徨っているのかと思ったが、アシ際で鯉がハタイている様子は全くない。さらに観察していたところ、背鰭が出てしまうような浅場にまで鯉がシラウオを追い掛け回しているのを見て合点がいった。

バスも当然シラウオを意識して同じエリアに居たとは思うのだが、シャローは鯉に占拠されておりバスは止む無くそれより少しだけ深い場所に居たのではないか、と推察している。


2尾という釣果は、果たしてこれが釣れ始めの合図なのかというと判断するのは難しい。そもそも現在の霞ヶ浦水系はハイシーズンであっても数尾で終わることが普通になってしまった。
バスボートで広大な水域を駆ける釣りは本当に楽しい、しかし得られる結果と費やすコストが見合っていないと感じる人も少なくはないだろう。万が一今よりもさらに霞ヶ浦水系のバスが釣れなくなったとしたら、その時は自分もバスボートを手放すことを真剣に考えるかもしれない。

スミスのホームページ上に連載もされている吉田幸二さんの呼び掛けにより、霞ヶ浦水系では昨年から5月のトーナメント開催が自粛されている。言うまでもなくスポーニング時期の魚の移動を抑えることを目的としたものだ。この効果によるものなのか、昨年はバスの稚魚が例年よりも多く見られたそうだ。バスは3年で30cm程度となるので、あと2年後には釣果に反映されてくる可能性がある。
昔のような二桁釣果が戻ってくることはないにしても、中級者レベルのアングラーがハイシーズンに1日釣りをしてコンスタントに3〜5尾釣れるようになったら、今より格段に霞ヶ浦水系の釣りが楽しくなるだろう。そうなってくれることを願わずにはいられない。


【使用タックル】

 ROD  REEL  LINE  LURE
ツアラーV-SPEC
TVC-65M/HG
REVO
STX
マシンガンキャスト12lb. ディプシードゥ2、3



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