『年末年始 戸面原ダム釣行』


  池島 竜一(SMITH STAFF)



年寄アングラーの懐古話になってしまうが、関東のフィールドも20〜30年前は良く釣れた。当時は真冬のバス釣りをする人なんてほぼいなかった時代だが、北浦で岸釣りをしても毎回20尾以上は釣れていたものだ。そうした経験を経て、自分は冬のバス釣りを習得していった。
けれどももし時代が違い、今の時代に1から冬の釣りを習得できるかと言われるとその自信はない。仮に場所や釣り方が正しかったとしても得られるバイト数は極めて少なく、果たしてそれが正解なのか否かの判断はつかないだろうと思うからだ。

私自身も、近年の冬の釣りが厳しさを一層増していることを実感することが多い。バスの個体数は減少の一途で、もう昔のような釣りは出来ないものと諦めていた。
そんな中、近年解禁された房総のフィールドではバスの個体数がある程度温存されていた。まるで昔のフィールドで釣りをしているかのような錯覚さえ覚える時がある。今は無我夢中になって真冬のリザーバーに通っている。


12月29日

水郷エリアの冬の釣りであれば、年始を境にしてその難易度が一気に増す。果たして戸面原ダムではどうなるだろうか。2017年秋に解禁となったばかりのこの湖では誰もまだその答えを知らない。自分自身でその推移状況を掴みたく、定点観測にこだわって足を運んでいる。
1週間前の釣果は8尾。終了間際にはバイトが頻発するエリアも見付けていた。この日は二桁釣果を得ることへの期待も膨らんでいた。

それまで比較的暖冬傾向だった関東も年末年始は寒波がやってきた。戸面原ダムでのバス釣りは6:40がそのスタートになる。この時期の6:40はまだほんのりと薄暗い。気温は-3度。水温はまだ8度台後半だったものの、ガイドリングに付着した水滴がすぐに凍り付きライトリグの操作性を阻害する。

薄暗い時間帯にセレクトするワームカラーはブラック一択。まずはレッグワームのブラックで水深4〜5mに沈む沈木を狙っていく。

1週間前には3連発した場所だが、どういうわけかこの日は1尾しか出ない。

おかしいと思いつつも付近のオダを攻めたところ、この日はそちらにバスが溜まっており一気に3尾を連続キャッチすることに成功した。

この時点で時刻はまだ8時前。今日はどこまで釣果を伸ばせるだろうと楽観視したのがいけなかった。



この日のメインに考えていたのは1週間前の夕方にかなりのバイト数を得ていたエリア。 前回はスパイニーアックスのワッキーリグをドラッギングすると、数m引くだけでバイトが出るような状態。とにかく付近一帯のバスの密度が尋常でないように思えた。 ここをじっくりと攻めればかなりの数が獲れるだろうという目論見があった。

しかしその目論見は見事に外れた。同じワームで同じコースをドラッギングして流してもまるでバイトがない。釣り方が悪いのか魚が移動してしまったのかわからない。 どこかに魚が溜まっているはずだと思い執拗に攻めてみる。先週よりも1段深いレンジを攻めようやく1尾をキャッチしたが、状況が大きく変わっていたのは明らかだった。 それにも関わらず諦めきれずにかなりの時間を費やしてしまったことを後悔する結果となった。


アテにしていたエリアでの釣りが期待外れに終わり、ここから迷走が始まる。 朝の連発劇はどこへやら、どこで何をやってもまるで釣れる気がしなくなってしまった。

誰もが狙うメジャースポットの馬の背を執拗に攻め、ようやくAR-Wピンテールのダウンショットで1尾を絞り出したが、それ以上の魚を絞り出すことは出来なかった。


結果は6尾。この日これ以上の本数を釣ったアングラーは皆無だったが、自分が思い描いていた結果ではなかった。もし朝の連発がなかったら貧果に終わっていたのは間違いない。 大きな課題を残しつつ、2018年の釣り納めを終了した。


1月2日

真冬の釣りでは水温の上がる昼間にバスの喰いが良くなるという説がある。確かにシャローカバー撃ちではその傾向があるように思える。しかしディープを釣る場合は真冬でも朝夕が釣れると思っている。ただ、夕方は昼間のプレッシャーの影響を受けてしまうので一番釣れるのは朝だと言える。特に戸面原ダムはその傾向が強いように感じている。

自分の釣り方自体も関係していると思うが、ここ最近は朝に連発し、日中は単発に終わってしまう事が多い。だから時間帯に左右されずコンスタントに釣果を重ねていくことが課題となっていた。それが出来ない限りは釣果が安定しないだろう。


この日は昼過ぎから5mの風予報が出ていた。 風が吹き出すと繊細な釣りは難易度を増す。なるべく風が吹き出す前にある程度は釣っておきたいところだ。

しかしこの日の朝は苦戦。ダウンショットで攻めるがことごとくショートバイトに終わってしまう。かといって喰わせの時間を置くと今度は沈木に潜られる。
そんなジレンマと戦いながら5バイト目でようやく1尾目をキャッチ。この魚が自分の2019年初バスとなった。

同じスポットを叩き過ぎたためにバイトが途絶えてしまった。そこで付近のオダを攻める。先行者に叩かれた後だからかバイトがない。
それならばとフォーミュラをワームに塗布して投げ直すと1投目でヒット。この日の朝は2尾と、ややスタートダッシュに躓いた感があった。

水温は8度前半。4日前と比較して0.5度程度しか下がっていないのだが、ショートバイトが多発したというのは明らかに状況が厳しくなった証拠だった。


大きく移動し、とあるワンドに入る。地形変化は乏しい場所だが湖流が強く当たらず魚は多いようだ。何より魚探に映るヘラブナの群れの量がおびただしい。

ワンドの真ん中に刺さっている竹杭にAR-Wピンテール(ジューンバグ)のダウンショットを撃ち込むと1投目からヒットした。この竹杭は特にオダが沈んでいるわけでもないのだが、何もない場所に数本がまとまって刺さっているので魚が足を止めやすいようだ。4日前にもバイトを得ていた場所だった。


さらに同じワンドの奥にある竹林エリア。倒れた竹の先端がそのまま水没しており水深3〜4mラインにまで伸びている。ここもダウンショットで丹念に攻めて1尾キャッチ。連発こそなかったが、このワンドは低水温期に狙う価値がある場所のようだ。



以後、メインレイクの更なる深いレンジ(〜10m)に沈んでいる立ち木などを攻めてもみたがバイトは得られなかった。明らかに4〜5mの方がバイトが多い。 この湖にはワカサギもいないことから、普段バスが捕食しているベイト類は比較的浅いレンジに居るのだろう。


ラストポイントにはとある沢筋に入ってみた。この時期は本湖が人気で川筋を攻めるアングラーはほとんどいない。この時も自分一人の貸し切り状態だった。 この場所は地形としては沢筋だがインレットとしてはほとんど機能していない。最上流部も水が枯れており流入はほとんどない。そのため水温も本湖と変わらない。
そして自分がこの場所を選んだのは、他の場所に比べて格段に沈木が多いからだ。魚探で見ると浅いところから深いところにまでかなりの数の木が沈んでいるのがわかる。

レッグワームのダウンショットで探っていくとすぐに小バスが喰ってきた。1尾だけでは結論付け出来ないが、小バスが釣れるというのはまだバスの活性が落ち切っていない証拠でもある。

確信を持ちつつ探っていくと、案の定数回のバイトが得られた。ここでも喰い自体は浅いようでスッポ抜けが連続してしまったが、グッドサイズの追加にも成功した。


この日の釣りを終えて総括してみると、バスの状況は徐々に厳寒期に向かって厳しくなっていると感じた。 ショートバイトが多くスッポ抜けが多発した事、そしてワッキーリグのドラッギング、つまり横方向の動きへの反応がなくなってしまったことからそのような判断をしている。

おそらく1月半ば〜2月上旬にかけては1年のうちでも最も厳しい時期になるだろう。けれども、その最も厳しい時期に結果が出せてこそ自信に繋がると思っているので、今後も変わらずフィールドに足を運んで行くつもりだ。


レッグワームとAR-Wピンテール

スミスで販売している製品ではないが、房総リザーバーで定番となっているレッグワーム2.5インチ。 サイズ感、動きなどが水域に合っていると感じる。狙った場所に正確に撃ち込めれば勝負が速いので、自分はパイロット的に投入する際に多用している。
動かし方はポーズを入れずに連続して動かし続けるイメージで使う。高比重素材のワームはポーズを入れると垂れ下がってしまい、止・動・止・動・・・と繰り返すほど糸ヨレが生じてしまうデメリットがあるのでなるべくポーズは入れないような使い方をしている。

そこで私がレッグワームと併用しているのがAR-Wピンテール2.75インチ。サイズ感はレッグワームとほぼ同等だがテールが細いので微細な動きで誘うことが出来る。 ポーズを織り交ぜても垂れ下がりが少ないので糸ヨレを生じにくく、よりスローに探る釣り方に向いている。レッグワームで一度攻めた後のルアーローテーション的に投入しても効果的だ。

何よりAR-Wピンテール2.75インチとレッグワームを併用する一番の理由は同じサイズのフックを共用出来る点にある。リグ自体をわざわざ作り替えなくてもワームだけを刺し直すことで簡単にスイッチ出来る。
AR-Wピンテールにはブラックやジューンバグといったこの時期の房総リザーバーで効果の高いカラーがラインナップされている点も個人的にお勧めできる理由の1つだ。


【使用タックル】

 ROD  REEL  LINE  LURE
ツアラーV-SPEC
TVS-61UL/ST
ダイワ
2004
FCスナイパー3lb. AR-Wピンテール2.75インチ,レッグワーム2.5インチ(ダウンショットリグ)
(タングステンシンカー1.5g,タイニースゴイフック#8)



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