吉川 雄介

湘南方面・東京湾を中心に活動中のシーバスアングラー。
週間つりニュース APC としても活躍。

アツギ・ミュージアム特別企画 ショアでのシーバスフィッシングガイドを実施中
http://www.atsugi-museum.com/



《 相模湾・ライトルアー船で狙う青物 》


 夏場の青物シーズンになると、相模湾では手軽に好釣果が期待できるライトルアー船に人気が集中する。その魅力は釣れるターゲットが豊富なことと、なんといっても出船から帰港までわずか3時間といった手軽さが人気の秘密である。

 ここでは、私がガイド役でルアー初挑戦の方と乗船した、8月下旬の模様を報告したい。


 当日は個人的に親しくさせていただいている湘南・平塚の浅ハ丸さんのライトルアー船を利用。人柄の良い田中船長は初心者に親切に指導してくれる人気者で、その日の釣果内容や航程にかかった時間によっては、少しだけ延長もしてくれるルアー大好き船長である。

 釣り座は船宿の開店と同時に釣り座表に名前を記入していく受付順で、基本的に前日までの予約制となっている。乗船する際はライフジャケットの着用はもちろん、帽子、サングラス、足元は滑らない履物が鉄則になる。夏場の乗船は短時間でも多めに飲料水を持参し、アイスボックスは氷水で用意しておくスタイルになる。

 尚、釣りのルールとしてはフックはシングル、トレブルともにバーブレスを使用し、キャストの際は周囲に注意しながらアンダーのみとなる。ランディング時は大物ならネット使用、サバや太刀魚、ワカシ、イナダクラスであればリーダーをつかんで抜き上げスタイルとなっている。なので、ラインシステムを組む際はリーダーは長めがいいだろう。


今季のライトルアー船は10月いっぱいまでは出船。
釣果、状況次第では11月も出船する見込み。要チェックですね。

釣った魚を3枚におろしてくれるサービスが大好評。
鮮度もよく、自宅では調理するだけのうれしいサービスです。

 さて、この日は千葉の大橋さん、斎藤さんと3人で朝6時半の第一便に乗船。釣り座は右舷トモで、とにかくルアー初挑戦の大橋さんに一度でいいからググッという重々しいファイトを堪能していただくのが最大の目的。

 ライトジギング用に開発されたスミスのオフショアスティックSLJ2本を大橋さんに手渡し、ベイトとスピニングの使い方もマスターしていただく。

ライトジギング専用のSLJシリーズ。
ターゲットは10kg以下級青物。
イナダ〜ワラサ、シイラ、サバ、シーバス、太刀魚など、ライトルアー船に適したロッドです。


 ちなみに、今季の相模湾の青物状況だが、例年通り5〜7月は40p級のゴマサバラッシュに沸いた。ただし、9月付近に登場するイナダが7月から爆釣となり、それでいて8月上旬頃からサバもワカシもイナダの姿も平塚沖からほぼ消えてしまった。船宿のご主人曰く、おそらく高水温がかなり影響しているらしく、水深がある沖の深場に移動しているのだろうとのこと。

 また、今年はマグロ(キメジ)の当たり年らしく、ワカシやサバなどもキメジのベイトとなって沿岸部に回遊をみせないとか。確かに8月はどの船宿でもキメジが好釣果で、8月中旬に乗船した際は平塚沖の水深20mラインでマグロのナブラ(跳ね)が見れたほどである。

 その証拠に当日は、なんと田中船長も初めて見たという光景に出くわしてしまった。それは太刀魚のポイントとなった平塚沖の水深20mラインでの出来事。正確に言うと相模川河口から沖に約1kmほどのエリアで、なんとマグロに食い上げられた太刀魚が水面でジャンプを繰り返しては弱って浮いてしまうというシーンであった。船を寄せてはネットで5〜6尾すくったが、太刀魚が逃げ惑いながらジャンプするシーンは目が点になるほど衝撃だった。



ルアー初挑戦の大橋さんは、なんと太刀魚の
ヒットパターンを攻略して竿頭。
エサ釣りのような誘い方が当日のパターンでした。
 ところで釣りの方は、太刀魚の反応を探しながら小移動を繰り返すようなスタイル。強い陽射しを嫌って太刀魚の泳層はボトム付近に集中し、浮いてもボトムから5m上までという低活性ぶり。

 しかし、なかなか口を使ってくれない状況下にもかかわらず、この日は大橋さんのあるパターンが正解となり、なんと大橋さん本人が計12尾で竿頭になってしまった。そのパターンはというと、とにかく指示ダナ内でスローに巻き上げる、もしくは一定のリズムでロッドをスローに上下するだけ、といった初心者ならではの操作が不思議とヒットパターンになった。まさに一見、エサ釣りのような動かし方である。

 したがって、反射食いを誘うような派手なアクションは逆効果で、私を含む常連さんたちには地味な釣り方だけにシビレをきらしてしまった。


 更に、誘う上で難しかったことは、中層付近からイナダやソーダガツオの反応になっていた点である。よって、ジグの重さとフックのセッティングに悩んだが、狙う場所の水深と潮流の緩やかさなどから判断して、我々3人は40gのメタルフォーカスを使用。テールフックで太刀魚、そしてフロントフックで青物がヒットできるよう、フロントは段差針2本、リアは#5、もしくは#4のトレブル装着で対処した。

 結果的にこのセッティングが正解となり、私はこのポイントで反応が出ていた3魚種をヒット。残念ながら大橋さんと斎藤さんには青物ヒットは無かったが、ボトムでスローにジグを上下させるパターンでお二人とも二桁の太刀魚釣果となった。

 乗船者は計12名ほどで、太刀魚は一人平均1〜2尾といった難易度。低活性で群れの規模が小さかったにもかかわらず、大橋さんはパターンをつかんで注目の的となっていた。本人も記憶に残るルアー船となったことだろう。ベイトタックルの扱いにも慣れ、ワンピッチ&ワンジャークといったシャクリのリズムも最後は出来るようになってくれた。


9月以降はイナダがメーンとなり、ワラサクラスも期待できます。
このイナダは速巻き中に行う連続ジャーキングでヒット。

相模湾のライトルアー船は2度目の斉籐さん。
船中ファーストヒットで好調のスタート。
今回は船酔いをしないで頑張ってくれました。


ガイド役の私も太刀魚ヒットで一安心。
スローに誘うただ巻きと、
スローなリフト&フォ―ルがパターンでした。

当日のフックセッティングは、青物狙いでフロント段差針2本、
太刀魚狙いでリアにトレブル装着しました。
使用の際はバーブレス、又はバーブをつぶす
ルールとなっています。


 9時過ぎ、太刀魚のお土産が確保できたところで本命のシイラ狙いに移動。向かった場所は水深30mラインで、平塚〜江ノ島にかけてのブイ周り3か所。しかし、生憎この日はシイラの姿は無く、大橋さんはキャストの仕方を習得して終了時刻を迎えた。

 ちなみに、私が3〜4日前に2回乗船した際は、船の周りはペンペンサイズのシイラだらけという状況に遭遇。泳層は水面下2mほどで、メタルフォーカス40gを使用したパターンが当たりとなった。操作はチョイ投げで着水後、カウント7〜10秒から5回転ほどシャクリ上げる。そして、そのまま横方向の動きに移行してチョンチョンチョンチョンと、リズミカルにトゥイッチを加え続けるというもの。要はシャクリのアクションで興味をもたせ、横方向に逃げる動きでバイトを誘発させる感じである。

 その日はジグと同じ様な動きが演出できる、バイブレーションのベイブル21gやシンキングペンシルのカクーンシーバス、ジグミノーのウルム26gが当たりとなり、約2時間で30回以上のヒットを楽しむことが出来た。

 ちなみにタックルは青物狙いのライトクラスだったため、PE1・5号にフロロリーダー30ポンドという組み合わせだった。尚、シイラ狙いにおけるキモはバイトレンジを下げないことで、船長からも中層より下にはルアーを沈めないで下さいと指示。出来るだけ表層に浮かせるように意識し、隣でファイト中の周囲を狙えば簡単にヒットさせることもできた。10月上旬頃までまだまだシイラが狙えるため、強めのタックルも持参されるといい。


 さて、今後の展望としては水温の低下とともに再びイナダがメーンとなる見込み。9月以降になると烏帽子岩周辺でシーバスやヒラメなども期待でき、ソーダ、ホウボウ、太刀魚と、秋はターゲットが多彩になる。基本的に使用ジグは50g前後をメーンとし、狙う水深やベイトの種類、潮流の強弱に合わせて28g〜80gを用意したい。

 尚、今シーズンの浅ハ丸さんは10月いっぱいまで確実にライトルアー船続行とのこと。釣果をみながら11月も出船予定になる可能性が高いため、この秋はぜひ、手軽なライトルアー船でイナダの重々しいファイトを味わっていただきたい。


■ 浅ハ丸 0463(21)0904  ライトルアー船料金¥3500
  平日6:30出船  土日祭6:30、11:00出船


● 使用タックル

【太刀魚&イナダ】

ロッド オフショアスティックSLJ SLJ−C61M(ベイト仕様)
リール ジリオンPEスペシャル100HL
ライン 山豊テグス スーパーPEゼロファイター12lb(1号)
リーダー 山豊テグス フロロショックリーダー25lb(2m)
ノット FGノット
ヒットルアー メタルフォーカス40g フルレーザー、チャートオレンジベリー他

【シイラ】

ロッド オフショアスティックSLJ SLJ−S62M
リール バイオマスターSW4000XG
ライン 山豊テグス アーマーブレード1・5号
リーダー 山豊テグス スーパーショックリーダー(ナイロン)30lb(2m)
ノット FGノット
ヒットルアー メタルフォーカス40g、ベイブル21g、ウルム26g、ドラゴンサラナS37g
カラ―:各ルアー・・・レーザー系を使用



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