冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2015 遠州灘釣行記(伊良湖岬番外編) 》


■ 今秋の遠州灘

 秋の遠州灘は、週末の度に台風や高波で釣りができる日が少なかった。夏から好調のマゴチは秋になっても釣れ続き、良型が姿を見せ始めたヒラメとともに多くのアングラーを楽しませてくれていた。今やマゴチやヒラメはワームで釣ることが一般化し、トリプルフックの2本装着できるフレームにピンクのワームが多くの実績を上げていた。私と言えば周囲でマゴチが好調なのはわかっていても、ワームを手にすることなくキス釣りをしながら鳥山と青物の接岸を待った。


■ 伊良湖岬 青物事情

 遠州灘には数年前からワラサがサーフに回遊するようになったが、ここ数年はめっきり数が少なくなった。しかしサイズは年々大きくなり、10kg近いブリクラスも混じるようになってきた。特に今年は渥美半島先端の伊良湖岬で、夏の終わりからオフショアでブリのナブラが報告され、遠州灘サーフへの青物の接岸を今か今かと待ち構えていた。

 そして10月中旬。まずは伊良湖岬からその便りが届いた。それも外洋側でなく、半島を回り込んだ湾内側からだった。西の浜と呼ばれるサーフからトップの誘い出しによるもので、にわかに先端地区が熱気に包まれた。その後港湾部からもバイブレーションによる釣果も届き、私もいよいよ仕事前の朝活モードに入っていった。


■ タックルと攻略法

 伊良湖岬のショアの釣りの特徴的なのが、バイブレーションを多用することではないだろうか?この時期北西の季節風が吹き荒れる伊良湖岬の先端地区は、風を真正面に受けるポイントが多い。また流れの速さで有名な伊良湖水道に隣接することから、港の潮の流れは川のようである。この強風と強い流れを釣るための手段としてヘビーウエイトのバイブレーションが多用されている。それも水深のある港周りならわかるのだが、この地のサーフにおける使用頻度の高さは異常なほどだ。

 一方西の浜では、大型のトップウォーターやシンキングペンシル系の表層ジャークに実績が出ている。青物の接岸は鳥山やベイト付きといったわかりやすいものでなく、突然バイトしてくることが多く、アングラーはこれらのプラグをヘビータックルで投げ続ける持久力が求められる。

 ロッドは本格的なショアジギング用のヘビーロッドにPE3号の本気タックルのアングラーもいるが、多くは少しヘビーなシーバスロッドかライトのショアジギング用のタックルが多いのではないだろうか。私はショアジガーのSJS100/60で30g〜60gとブローショットロングキャリーBS-LC100を持ち込み、ポイント、ルアーウエイト、ターゲットの大きさにより使い分けている。ルアーはドラゴンサラナ、サーディンラン、ハルカ、サラナなどのミノー・ペンシル系、ベイブル、ハイパーブレードなどのバイブ、最後に定番のジグ、メタルフォーカスで先端地区に通うことにした。


■ 朝活開始

 私の職場は渥美半島の付け根にあり、朝マズメ後に出勤時間に間に合うため、毎年この時期いい潮まわりは仕事前にサーフで青物を追っていた。先端地区からのホットな情報を入手するや、まずはポイントのリサーチを兼ねた釣りを開始した。

 すると朝活初日から大型ブリクラスを見せられ、今年の魚の大きさに言葉を失った。すぐに泳ぎを損なわない程度にフックのサイズアップと強化をルアーに施した。通い始めたころは地元のロコアングラー中心だったがすぐにその情報は名古屋方面にまで伝わり、11月の週末ともなると核心部は遠征組の車が並び、深夜から場所取りを始めるまでになっていた。中途半端な早起きでは釣り場に入ることも難しく、その後は指をくわえて見ていることが多かった。しかし通ってみるもので、混雑を避けながら自分の釣りができるポイントをなんとか確保し、そこで青物の回遊をひたすら待った。


■ 11月中旬

 通い始めて何日経過しただろうか?潮は大潮後の中潮。8時過ぎに満潮を迎えるタイミングに夜明け前からポイントに入った。先行者は偶然にも誰もいない。難なく狙いのポイントにはいると、キャストを開始した。これまでこのポイントでは流れによって潮目ができ、この潮目伝いに魚が回遊してくると考えていた。しかし通うにつれ早朝や夕マズメは、潮目だけでなく海岸線沿いに回遊してくるようだった。そこで潮目を過度に意識することなく、ポイント全体の流れのある場所を中心に攻めるように攻め方を変えていった。

 5時半を過ぎ、東の空は朝焼けでうっすらと赤く色づきはじめ夜明けが近いことを知らせていた。日の出まで波も高く、時折潮をかぶることもあったが、日が昇り満潮に近づくにつれすっかり波も収まり、キャストの度にかかってきた海藻やごみも引っかからなくなってきた。潮の色も悪くない。ようだ。波も適度にあり、青物だけでなくシーバスにもいい感じに思えた。


■ドラゴンサラナに突然のバイト

 水面も荒れていた早朝はベイブル9cmのHSやサラナ147MAXで中層を探っていたが、白々と明るくなってきたのでトップゲームにシフトした。ルアーはドラゴンサラナのウルメカラー。少し重めのシンキングペンシルで、圧倒的な飛距離とジャーク後のフォールが素晴らしいルアーだ。フルキャスト後、ロッドティップを高く保ち、水面に浮き上がるようにジャークの後、水平フォールで喰わせの間をとる。これを足元まで丁寧に続けながら青物の回遊を待った。周囲には数名のアングラーが入り、定番のバイブレーションをキャストし、ペンシル・ミノー系は私だけだった。いよいよ日も登り、ここから約1時間。プライムタイムのスタートだ。

 完全に日が昇りきったころ、突然ドラゴンサラナにバイトがあった。ジャーク後のヒラヒラとフォールを始めたタイミングでのバイト。あまり大きな当たりではなかったが、最初の魚なので慎重に引き寄せていく。始めはドラグを緩めにしていたので少しラインを出されたが、その後は難なく寄ってき。あまり大きくはないようだ。そうはいっても青物。手前で最後の抵抗をするがなんとかネットイン。60cm前後のハマチ。期待のサイズではなかったが、まずはシーズン初めての青物の引きを楽しみ少し落ち着くことができた。

 2匹目もすぐに来た。同じ沖目のポイントからやはりフォールに喰ってきた。こちらは50cm程。ランディング後フィッシュグリップの引き金に触れてリリースとなったが、続けてのヒットに周囲のアングラーがこちらを注目し始めた。ミノー系で喰わせていることに気がついたようで、周囲も慌ただしくバイブからミノー系にルアーを変え始めていた。すると程なくして隣のアングラーにあたりがあったようで、竿が曲がっていた。今日は表層のミノー、ペンシル系に反応が良いようだ。

 3匹目は、なんと足もとから喰い上げてきた。スローリトリーブで回収中のドラゴンサラナに水面を割って飛び出してきた。さすがにこれには驚かされたが、この時は落ち着いていた。フッキングが浅いような気がしたので、しっかり糸を出したのちに合わせを入れすぐに寄せに入った。バイトの瞬間は見たものの、大きさは良く分からなかった。どうせ50cm位だろうと思い込んでいたため、そのまま強引に足元まで寄せてしまった。このときやっと魚が70cmのワラサクラスであることがわかった。「しまった。ここで走られるとヤバイな。」と思った瞬間、大きく右に走り始めたと思うと、今度は左に向きを変えた瞬間にルアーが外れてしまった。

 「ああ残念なことをした。ワラサだったのに。」今年初めてのワラサを取り逃がしてしまった。ただこれまで3匹の青物と充分ファイトを楽しんだので、あまり落ち込むことはなかった。後になって思えばここでネガティブになっていたら後の魚に出会えなかっただろう。

 3匹目のバラシのあと、また沖目のポイントから4度目のバイト。サイズも50cmほどの魚。ルアーは同じドラゴンサラナのウルメカラー。ウォーミングアップが終わった私には。何の問題もなくランディング。

■ 強化仕様のサーディンランSSに

 周囲は私があまりにバイトを連発させるために、釣り人が集まってきた。その視線を浴びながらのキャスティングは、正直言って気持ちよかった。あとは型だなと思いながら余裕をもってこれまで連発していたドラゴンサラナから、サーディンランSSのチャートスラッシュに切り替えた。このルアーは13cmのトップウォータープラグで、水面に水平に浮き、面を割らない水絡みの良さが今日の適度な波の中では丁度よかった。

 実はこのとき終了まであと15分となっていた。残り時間もあとわずかなどで終了まで強化仕様のサーディンランSSのチェックのつもりだった。33gのボディーにフックを1サイズアップし、太軸のフックを装着し10kgクラスでも何の心配もない。ウエイトを増したサーディンランSSは、ショアジガー100/60には丁度良いウエイトで、ぶっ飛ぶように遥か彼方に着水した。

 糸フケを取って最初のジャークの後のポーズを入れたときだった。水面が少し盛り上がり、大きな水しぶきとともに何かが水面を割ってサーディンランを襲った。「あ!」試しにキャストしたルアーにど派手な魚からの反応。ビックリさせられたが、流石に本日5匹目なのでその後は落ち着いてファイトができた。

 大きさはわからなかったので無理はせずに、じわじわと距離を詰めていった。残り20mほどのなったあたりから、前の4匹とは引きの強さの違いを感じていたため、隣に入ってきた釣友にヘルプを頼み、ランディングの体制に入った。水中には白い魚影が浮かび上がり、これまでの魚とは違う大型の魚であることは容易にわかった。バラす訳にはいかない。充分に魚の引きを味わいながらゆっくりと慎重に寄せて行った。その間釣友はランディングネットを抱えながらファイトシーンを撮影する余裕もあり彼も落ち着いていた。「喰う瞬間を見たよ!」そんな話をしながら落ち着いたやり取りが5分位続いた。足元まで寄せた魚をランディングにしようとネットに誘導するが、大きくてなかなか入らない。何度かこの作業を繰り返し、やっとランディングに成功した。「獲った!」なんとか鰤クラス?(80cm 5kg弱)の青物を岸から獲ることができた。なによりトップで獲れたことがうれしかった。




■ これからの伊良湖岬、遠州灘

 伊良湖岬や遠州灘はこれからが本番。先端地区の青物は今後どのような動きをするのか全く予想がつかない。遠州灘の青物やシーバスはこれから本格化し、年内は楽しむことができるだろう。徐々に季節が進み、北西の風が吹き水温が下がり始めたころ、遅れ気味のシーバスの回遊も見られるだろうから、ことしの遠州灘、特に伊良湖岬の先端地区からは目が離せない。

 岸から10kgクラスとやり取りできる機会はそうあるものではない。当分睡眠不足と闘いながら、この海に通い続けることになるだろう。次にこのレポートをアップするときは10kgクラスの魚を紹介できることを夢見て。


● マイタックル

◇ロッド スミス ショアジガー SJS100/60 スミス ブローショットロングキャリー BS-LC100
◇リール シマノ ツインパワーSW 4000XG ステラ4000XG
◇ルアー スミス  ドラゴンサラナ サーディンランSS・F 飛烏賊HF A-CUP ベイブル90HS
      ハイパーブレード サラナ147MAX  ハルカ145F・S メタルフォーカス 28g 40g 60g
◇ライン  ヨツアミ G-soul SUPER JIGMAN X8 1.5号
       G-soul SUPER JIGMAN X4 1.2号
       G-soul WX-8
◇ショックリーダー バリバス ナイロン 30・35・40lb



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