古谷 英一

スミスフィールドスタッフ



《 港湾シーバス 》


私の住む鹿児島は、他県沿岸部と比べると非常に海を照らす明かりの量が少ない。海に面する場所は非常に大きいのに、その沿岸に設置されている常夜灯の数は極端に少ないのが現状。港湾部の安全や防犯の意味を持つ常夜灯が少ないって事は、それだけ平和な事なのかもしれない。
しかし、釣りをする側から考えると、明かりが少ない=ポイントが少ないという事にも。そのため、いい明かりのある場所は、釣り人が常に集まる傾向も強い。その中にルアーで入るのはなかなか辛く、人の多い所を嫌う私は、いつも安定して釣れないスポットへ。
初春から、大型ベイトパターンでいいサイズが出ていた場所もあったが、その頃はあえて河川バチというマニアックなゲームへ。その後も、食い渋りの小型ベイトパターンの港湾部へ通う。ちょっと変態的なスタイルになりつつある、ここ最近のシーバスゲームではある。


今回、ご紹介するのが、その小型ベイトパターンの港湾シーバス。例年であれば、3月頭からアフターシーバスが入り、安定の釣果が出せるゲーム。しかし、河川でのアフターシーバスをハズしているので、今シーズンの動きが全く見えない状況。港湾のバチ抜けまでにその動きを掴めるか!?そこが、最も重要な部分でもある。
そして、河川バチ終了と共に港湾通い。港湾部に関しては、鹿児島市内なので手軽に行ける。仕事帰りの短時間釣行で十分。日々、港湾部を巡る。
もちろん、シーバス発見までには時間は掛からなかった。例年のパターン通り、入っている場所は明確で、場所場所で捕食対象も異なる感じ。中でも最も安定していたのが、この小型ベイトに着いたシーバス。


港湾部のシーバスの場合、明かりがある事が大切な要素。明かりに対してベイトが集まり、そのベイトを捕食しにシーバスが集まる。そのため、基本は常夜灯の有無からフィールド選びが始まる。
他県に比べて市街地でも常夜灯の少ない鹿児島では、沿岸部の常夜灯なんて本当に限られている。その中から、シーバスの好みそうな場所を探し出すのは比較的に簡単。
しかし、そんな港湾部には昔からシーバス狙いのアングラーは少なく、シーバスアングラーとの競争は少ない。ただ、他の釣りとのバッティングはシーバスゲームにとっては致命的。より釣り人の少ない場所を探すのも、自分の釣りを組み立てやすくする秘訣でもある。


人知れず釣りをする。しかも、よりテクニカルなゲームを好んで。やはり少し変わり者ではあるが、この釣りは好きだ。
今回、小型ベイトパターンではあるが、ベイトは夜間であれば目視できるサイズではない。数cmの何かの稚魚がメインベイト。まだ港湾バチ抜けの方が釣りやすいし、大型ベイトであれば大した考えもいらないかもしれない。簡単に食わせる事が出来ないから、より面白いと言える。
そして、その目に見えないベイトを捕食するシーバスは、明暗の境をメインに、ベイトを探してウロウロ。時には目視できるし、ライズも起こる。ピッピッピッピッと逃げる小さなベイトの姿も。
アフターシーバスであれば、こういった遊泳力の小さな捕食し易いベイトを好むのは当然だろう。もちろん攻略するには、このベイトの動きを模してあげる必要がある。そして、シーバスの捕食スイッチの入るタイミングをしっかりと把握する必要も。
河川とは違い、潮の流れに統一性がない港湾部の場合、潮が早く流れる事は少ない。そんな中でも、水の動きがしっかりと出来るタイミングが一つのカギとなる。流れに流されまいと一生懸命に泳げば泳ぐほど、小型ベイトは逃げ場を失うからだ。


また、風も大切な要素。水面にどうしても集まりがちな小型ベイトは、水面の水を動かす風にも、影響されて流されてしまう。そのため、岸壁へ吹き付ける風は、ベイトを岸際へ押し寄せる風となり、よりシーバスのスイッチを入れやすい状況を作る。


そして最後にルアー。マッチ・ザ・ベイトなんて、とても合わせられない。ただ、そのシルエットをしっかりとごまかし、さらには数少ないチャンスをしっかりとモノにできる様にしたい。そのため、フックは少しでも大きなものが付いた、ベイトと比べれば大きめのサイズをセレクト。さらに、足下での捕食も多いので、足下までしっかりとリトリーブできる物が好ましい。
今回、使用したウェイビーS65とS85はシンキングである事と、ロッドから伝えたアクションをしっかりと反映できるアクションレスポンスの良さを考えて。足下までしっかりとトレースでき、シルエットを誤魔化せるフラッシングとキレのあるアクションが、結果として毎度毎度のヒットを誘いだしてくれた。






メインはS65を使うが、風が強く波立っている時にはコントロールし易く水中でも安定し易いS85を使用。誘い方としては、ただ巻きではなかなか反応をしてくれないので、とにかくトゥイッチの連続。ギラギラとフラッシング全開で、とにかくシルエットをボカシでていく。食わせの間としてスローリトリーブなど入れても興味を失わせるだけなので、とにかくトゥイッチの連続。このトゥイッチの強弱で食わせのタイミングを作るのが、少しでもミスバイトを減らすコツ。
あとは、より効率良く釣るために、見えシーバスを探す。手当たり次第にキャストすれば、もちろん釣れない事はない。しかし、よりゲーム性を高くするために、私はサイトで。これなら、短時間勝負でも十分に楽しめる。仕事帰りの30分の楽しみ。



コンスタントに出てはくれるが、やはりサイズは例年より小さい。フッコクラスメインだが、短時間勝負の遊びとしては、楽しい釣り。
そして、これからは港湾部のバチ抜け本番。ボチボチと抜けている港もあるので、こちらも今後、ご紹介出来ればと思う。


【使用タックル】

ルアー・・・ウェイビーS65・S85



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