古谷 英一

スミスフィールドスタッフ



《 風によるシケで変わるシーバスゲーム 》


ここ最近、雨の少ない日々が続いている。今年は台風の発生も少なく、南九州は渇水状態が続いている。特に、私の住む鹿児島は降雨が少なく、河川の水温も高い状況が続く。
そのため、汽水域とは言え魚の動きは鈍く、さらに増水の少ないため淡水域へ侵入するシーバスも少ない。さらに草の成長がすこぶる良く、背丈以上の高さでポイントへ入れない場所多数。今年は想像を絶するコンディションとなっている。
しかし、そんな中でもセイゴだけは元気。ただ、行けども釣れどもセイゴクラスを脱出する事は出来ず。それどころか入れ食いの日々。この群れが必ず入れ替わる、そのタイミング待ちといった所。
やはり、台風など一気に河川環境を変えてくれる雨は、この季節には必要だ。


そんな日々、若干でも天候の変化が起こると風が吹く。例年であれば台風襲来での風を期待する時期、だが、今年はその台風も少ない。例年、台風によるシケで爆釣するのが、今年はこちらも期待が出来そうにない。

となれば、少しでも台風襲来と同じコンディションで、海が波立つタイミングを狙う事で、港湾のシビアなシーバスを攻略する。河川がセイゴクラスメインの為、少しでもいいサイズを狙うには、やはりこれしかない感じ。
釣行は鹿児島市内の港湾部。普段からシーバスはチラホラ居るものの、ルアーに対しての反応がシビア。追ってきてその1投で食わせれればいいが、普段はそう簡単にはいかない、偏屈なシーバス相手。
シーバスの存在は時折、状況を確認しているので、何時もと変わらずフラフラしている。もちろん、釣りのし易い日に行っても、1匹ヒットさせられるかどうか。よほどベイトが大量に入ってくれば話は変わるが、この季節にはなかなか難しい。そのため、海況の変化でシーバスの活性が高くなるタイミングを狙う。


港湾部のシーバスは、もちろん潮流やベイトにも左右されるが、警戒心の強いシーバスが非常に多い。ベイトに着いて沖を回遊しているシーバスならいいが、岸壁際などストラクチャーに着いているシーバスはとにかくこの警戒心が高い。
この警戒心を薄れさせてくれるのが、風であり、風によって起こる波である。このタイミングは、非常に重要なファクターとなる。夏場から秋に掛けての季節の変わり目は特に大切。

例年であれば、8月末から台風シーズン。それなりに台風の余波で錦江湾内も波立つ機会が多い。しかし、今年はその台風発生が少なく、思うようなシケが少ないのが現実。例年、この台風パターンで爆釣しているものの、それが期待出来ない。
そこで、警戒心の薄れる風が吹き波立つタイミングを選んで探る。そうする事で、台風パターンほどの釣果は出ないものの、安定のヒットを得られる。やはり、普段とは異なるコンディションが港湾部シーバスのスイッチを入れてくれる事は確かだ。
サイズはやはり平均して小振りではあるが、安定して数匹はヒットしてくれる事はいい事だ。しかも私の場合、港湾部シーバスは長時間釣行しない短時間勝負のため、効率のいい釣りができる。まだまだこのパターンで遊べそうな感じ。



さて、港湾部シーバスには風が大切な事は確かなのだが、どんな風でもいいのか?とういと、そうではない事も知っておいてもらいたい。強い風であればあるほど良いが、その風向きにも注目したい。
港湾部の場合、必ずシーバスが居着くエリアが決まっていると思う。どの向きの岸壁にシーバスが多いかによって、その岸壁に向かって吹き付ける風である事が大切。向かい風、もしくは斜め向かいからの風がベスト。
さらに、単に風が吹いているだけよりも、波がしっかりと出来る状況が必要。風の吹き始めや、弱すぎる風ではあまり効果はなく、多少は岸壁に波が当たり波飛沫が立つ位がベスト。
台風パターンではかなりの波があるが、それでもシーバスは捕食をし、ルアーにも反応してくれる。そのため、身の危険が伴わない範囲で波立った日を狙うのがコツ。



風が吹き付けてくる事で、その風で流されてくるものも多い。それは海面に浮いたゴミもだが、ベイトも岸壁際へ押しやられてくる。これもシーバスの活性を上げる一つの要因にも。遊泳力の弱い魚は、この風で風下へ押され、最終的には岸壁際までくる。さらに波で自由に動きにくいコンディションで、シーバスにとっては捕食し易い状況に。
こういった複数の要因が重なる事で、港湾部シーバスは攻略しやすくなる。これは、岸壁やストラクチャーに居着いている場所であれば、多くのポイントでも当てはまると思う。そのため、港湾部シーバスの苦手な方には、ぜひオススメ。
ただし、波がある釣行となるので、安全面には十分な注意が必要。無理な釣行は避けると共に、ライジャケの着用は絶対!安全最優先での釣行を守って頂きたい。


【使用タックル】

ロッド・・・ストラテジーツアラーV-specTVC-65M/HG
リール・・・ベイトリール
ライン・・・PEライン1号
リーダー・・・フロロカーボン16lb
ルアー・・・サラナ80F、95Fシーバット



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