古谷 英一

スミスフィールドスタッフ



《 深海魚「クロムツ」のショアゲーム 》


岸からの釣りで、ムツはマイナーなターゲット。しかし、その味は絶品。ノドグロと呼ばれるアカムツを筆頭に、深海釣りでは人気の魚。この深海魚、ショアから狙えるとなれば、皆さんはどうするだろう?
私は、そんなチャンスを逃したくない方(笑)。ショアから狙えるなら、それを攻略したいと躍起になる事が多い。昔から、そんな少し変態チックな性分。
今では人気のターゲットも試行錯誤しながらやったもんです。専用タックルなんて存在しないので、苦労はしましたが、そこに面白みが有ったのも事実ですね。
さて、今回ご紹介するムツもその一つ。今では冬の楽しみになってますが、パターンを探し出す事以前に、ポイントを探す事に苦労しました。やはり、ある程度の条件がある事と、魚からのコンタクトがなかなか得られないのが原因ですね。ポイントを探しつつ、攻略パターンを探る・・・ルアーだと、難しいのです。あとあと、エサでポイントを探して回れば良かったと(笑)。
まぁ、生い立ちはこの位にしておいて、本題へ。


ムツの中でも、ショアラインへの接岸が最も多いのは、今回のクロムツだと思います。ただ、あくまでも私の住む九州では・・・と加えておきます。各地の情報を持ってないもので。
そのクロムツは、前述したように何処でも釣れる訳ではないのが、残念な所。ターゲットとしては非常に面白いが、魚が入ってくる場所がかなり限られてくる。そこが、人気ターゲットになれない原因かもしれませんね。
ただ、入って来る場所さえ見付けてしまえば、とにかく安定の釣果。もちろん、日によってパターンは変わりますが、楽しい釣りが出来る事は確実です。
そのポイント探しの目安となるのが、深い水深と明るい常夜灯。この2つは大きなカギとなります。それに加えて、湾内よりは外洋に面している、もしくは湾口付近の場所。よりエサの豊富な場所を目指して、ムツも入ってくるようです。


今回の釣行は、錦江湾口の山川エリア。外洋の影響を受けやすく、さらにムツが生息し易い環境が差ほど遠くない場所にある。立地的には申し分ありません。
さらに、魚を寄せる常夜灯が沢山あり、水深が少し沖に行けば50m以上と急激に落ち込む。普段、キャストして探るエリアでも20〜40mとかなり深いのも特徴。こういった場所には、冬場になると必ず入ってきます。私が知るだけで、鹿児島の薩摩半島側だけで5〜6ヶ所はあり、毎年12月位から接岸が見られ、3月位までがシーズン。
どこも、この真冬の寒いシーズンのみショアから楽しめ、今ではメバルに並んで私の好きなターゲットに。ショアから狙うと、サイズの割りに走り回ってもくれるし、足下まで抵抗を繰り返すファイトは格別。そして、時には水面付近での捕食もあり、そんな時にはプラッキングでさらに面白いゲームが出来るのも特徴ですね。
そんな今回もプラッキングを期待したのですが、そう簡単にはいきませんね。水面付近どころか、中層までも浮いてこない、ボトムべったりの釣りに。これはこれで面白いのですが、なかなかの手返しの悪さ。だが、それを我慢すれば爆釣もある釣り。 実際、今回もバイト数は半端ない。しかし、このバイトの数を全てフッキングへ・・・ここが難しい所で、面白い部分ですね。高活性であれば、しっかりとしたバイトを得られるのですが、そんな日が意外に少ないのです。まぁ、高活性であればクロムツの居るレンジも上層へと上がってくるので、レンジが深いとシビアな釣りを強いられますね。
なので、水面付近へ浮いている場合はプラッキングでガンガン釣れるので楽しいんですが・・・今年は難しい様です。
基本、クロムツはベイトを追い回して捕食する魚ではないので、出来る限りスローな動きがバイトを増やす秘訣。これは、ゲームをする上で最も大切な事になります。スローなアピールが出来なければ、バイトさえない!そんなゲームです。
いや〜、書いててマニアック過ぎと自分でも思ってしまう(笑)。


さて、そんなクロムツゲームですが、今回のメソッドを。
簡単に言えば、ウルトラライト・ショアジギングです。ロッドは、プラッキングメバル専用ですがダークシャドゥ。これに小型スピニングとPEライン0.4号。リーダーはフロロカーボン1号です。普段、メバルで使用するタックル、そのままです。もちろん、アジングタックルでも出来ますが、ジグをキャスト、操作する事を考えたセッティングが必要です。
そして使用するルアーは、シラスジグUですね。ライトタックル専用で、軽量サイズがこの釣りには必要不可欠。このシラスジグUの5.5gをメインに、8.3gをより遠く深い場所を攻めるのに使います。
ただ、断然5.5gの方が軽いため、フォールでのバイトは多く、フッキングチャンスも増えますね。手返しは8.3gの方が断然いいのですが、クロムツの活性の低さから、今回は5.5gメインとなりました。
さて、このタックルで如何にして低活性のクロムツを攻略するか?ですが、今回のポイントである山川では、場所によって違いはあるものの、水深が20m以深をメインに探りました。だいたい、20〜30mのボトム付近でバイトが集中し、時折、15m位まで活性の上がったクロムツが浮いてくる感じでした。
このバイトのあるレンジをまず探り出す事が大切ですね。私の場合、オーソドックスに表層から攻め、バイトが得られなければボトムからレンジを上げながら探って行きます。高活性のクロムツが居れば、プラグへ変更して楽しく、表層付近でのバイトがなければメタルジグでクロムツの群れを探し出すって事。ただ、水深が深くなればなる程、探るエリアが広くなるので、より可能性の高いボトムからの方が効率はいいです。




今回、プラグへの反応を得られる活性ではなかったのですが、ボトムをきっちり狙うと、安定のバイト。ボトムメインの攻略をしつつ、バイトが遠のくと中層を探って群れを探すパターン。
これでワンキャスト、多い時には4〜5回のバイト。しかし、なかなかフッキング出来ないのが、さらに夢中にさせる原因。
基本的には、ボトムからジグをある程度リフトさせ、その後のカーブフォールで食わせるのがパターンです。リフトは、軽くスローピッチでジャークしつつ2〜3m浮かせる。ここはクロムツへのルアーの存在を気付かせる為のアピールですね。
その後、テンションを掛けた状態でボトムまでカーブフォール。このフォール中にバイトは集中し、一度バイトしてフッキング出来なくても、そのままフォールし続ければ再びバイトしてくる事も多い。それだけ、クロムツは数が居るので、あとは如何にしてフッキングするか?って部分です。
私の場合、根掛かりとテイリングを防ぐ為に、テイルフックは外し、アシストフックをセットしています。ただ、どうしてもジグのボディからフックが離れてしまうので、フッキング率が下がると考えてます。なので、より短く、ジグのボディから近い場所をキープできるアシストフックを使う事も大切です。
さらに、出来る限り軽いウエイトのジグが、バイト数も増えて、フッキング率も高くなります。ボディがコンパクトだし、何と言ってもフォールスピードが遅い事がいい!ここは大きなアドバンテージになります。





という事で、私がメインに使用するのはシラスジグUの5.5g。もちろん、水深20mを超えると、ボトムまで着底させるのに時間は掛かります。それ以深になると1分以上、フォールさせて着底です。なかなか焦れったい釣りにはなりますが、断然のバイト数!これには変えられませんね(笑)。


リフトさせては、出来る限りスローにフォール。これはボトムだけではなく、中層の場合も同様ですね。如何にスローな誘いが出来るか!?変な部分にハマって日々狙うクロムツ。たまにはこんな釣りもオススメですよ!もう少しシーズンも残っているので、皆さんもぜひ挑戦してもらいたいですね。


【使用タックル】

ロッド・・・ダークシャドウDSTZ-77
リール・・・スピニング2004番
ライン・・・PEライン0.4号
リーダー・・・フロロカーボン4lb
ルアー・・・シラスジグU5.5g、8.3g



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