古谷 英一

スミスフィールドスタッフ



《 河川バチ抜けシーバスを追う! 》


一年を通してシーバスを追い回す私は、暇があればあちらこちらへ出掛ける。もちろん、ボーズ覚悟での釣行ではあるが、例年のパターンを元に走り回る。
しかし、このシーズナブルパターンも年々ズレが生じているのも現実。海の変化、河川の変化、気候の変化・・・何が原因かは不明だが、一年通してシーバスを追い回す私にとっては、非常に厄介な状況である事は確か。片道一時間以内では何処も行けるが、その全てを見て回る事は不可能なので。
そんな難しいシーバスゲームになりつつあるが、手軽にビッグフィッシュが手に出来る魅力は捨てられない。そんな思いは私だけだろうか?


極寒期の年明けから、私が気にするのが河川のバチ抜け。昨シーズンもレポートさせてもらったが、このパターンは面白い過ぎて辞められない。私の釣り方が特殊過ぎるのかもしれないが、河川のバチ抜けでは最強の釣りと自信を持っている。
ルアーを引くのではなく、とにかく流すって所がカギになり、こんな釣りをする人はなかなか居ないとも思う。
ルアーは引くもの!これは常識的な事なので(笑)でも、河川バチ抜けでは確実なバイトを誘発できるメソッド。独特のスタイルではあるが、今年もこれでモソッとバイトするシーバスは続出する。


例年、決まった潮で抜ける事はまずない。しかも、月夜であれば大量にバチが浮く事もあるが、実は新月でも知れずにバチは抜けているのも事実。そして、そのバチ抜けの期間もシーズンによって異なり、1ヶ月以上続く年もあれば一潮で終わってしまう事も。
そのため、タイミングを逃すとバチ抜けに当たらない事も。なので、とにかく通う事が大切。

今年も1月末からバチを意識した釣行。バチの姿を探しつつ、バチパターンを中心に色々な攻めを行う日々。もちろん、シーバスの姿を見ることすらないシーズン初期。極寒期には、さすがに鹿児島と言えど辛い日々。
そして、日本列島を大寒波が覆う頃、チラホラとバチを確認。それと同時にシーバスもチラホラ。こうなれば、あとはバチの爆発を待つのみ。とにかく通う事でタイミングを逃さないって事。地道な我慢の釣りの後に、そのご褒美がやってくる。


今年もいい感じで釣れ続くバチ抜けシーバス。しかし、最盛期にまとまった雨が1日おきに・・・。この環境変化は、かなりきついコンディションへと変えてくれた。冷たい雨で水温は一気に下がり、河川は濁りと増水。バチの産卵を邪魔する要因がいくつも重なる。
それでもシーバスもバチを期待してかポイントへは入ってきており、それを何とか拾う釣りに。しかし、私の河川バチパターンには辛い強烈な流れが邪魔をしてくれる。何とも焦れったいシーズンとなった。
毎日通う事はなかなか出来ないので、私が行けてない日には大量にバチを食うシーバスが目に浮かぶ。しかし、こればかりはどうしようもない。次は他の河川のバチ抜けに期待したい所。まだまだ河川バチ抜けのパターンは、終わりそうにない。




さて、河川のバチパターン攻略を少し。昨シーズンもご紹介はしているが、ここでもう一度。
私の場合、マッチ・ザ・ベイトをとにかく重要視する。シーバスが小魚を食っている時には差ほど気にはしないが、このバチ抜けの時だけは欠かせない。よって、バチのサイズ感や動きまで、出来る限り近付けてあげる事に重点をおく。

これだけでバイトの数は各段にアップする。あとは、そのバイトを如何にフッキングさせるか?って部分になるが。
私がこの河川バチ抜けでメインに使用するのが、チェリーブラッドのリップレスLL70S。トラウト用だが、サイズ感とウエイトのバランスが凄く良く、私の河川バチ抜けでは外せないアイテム。あまり大きなバチが抜けない事もあり、サイズは70mm位が丁度いい。そして浅い河川となるため、ウエイトがありすぎると沈みが早く、シーバスに見せる時間が短くなる。LL90Sも使うが、出番はLL70Sの方が遥かに多い。

このLL70Sを使って攻略していくが、リトリーブで引く事ははっきり言って無視する。引いて釣るのではなく、このルアーを流して釣る。しかも、ドリフトでもなく、流れに対して縦に流すのが秘訣。ここが重要。
河川のバチは、流れに逆らって泳ぐ事はまずない。そんな遊泳力は持ってないので。となると、流れに身を任せる様に泳ぐしかない。そのため、ほぼ流れに対して同じ方向へ向いて泳ぐ。これを演出するには、流れに対して横(クロス)に引いては無理。流れに対して平行に近いアプローチが大切。
さらに、より見せる時間を長く確保するために、私はダウンの釣りに。上流から下流側へアプローチする。キャストはダウンクロスに、そこから流れに乗せつつ流し込む様に、明暗の境目を探っていく。
この時、沈みが早くならないように、テンションを一定にしつつ、ロッドティップを下流側へ送っていく事でルアーを下流側へ移動させる様に。ロッドのストローク分はしっかりとルアーを流す事ができ、流れの強さでそのスピードを変化させると共に、ボトムまで広いレンジも探れる。ただ、出来る限り左右の振り幅は少なくする事。流れの抵抗を少し感じつつ、流れに同調するようにロッドティップを送り込んであげる事がコツ。
これをストローク分送ったら、再び上流側へルアーを引き上げ、次の流し込みへ。これの繰り返し。状況にもよるが、この流し込みでバイトは続発。しかし、バチパターンの場合は明確なバイトが得られにくいのが特徴で、モソッとしたバイトやルアーが流れを受けている抵抗がなくなったり、集中しておかないと気が付かないバイトばかり。
バチを見つけたら浮いて口を開ければ流れ込むエサのため、シーバスもくわえ込む様な不明確なバイトをする。これを如何にしてとらえるか?そして、しっかりとフッキングさせるか?ここがさらに面白い所。





そんなシビアな釣りだが、毎年、辞められない。普段のルアーを引いてばかりの釣りとは違うのが、面白い所。これで今年も連発。しかし、サイズが出ない日々。産卵を終わらせたアフターが入ってくる頃なのに、その姿がない・・・。
産卵の遅れが原因なのか?それともバチよりもいいベイトが多いのか?ここ数年、アフターシーバスの戻りが遅い気がしてならない。
これから、全国各地でバチ抜けシーズンとなるが、河川のゲームではぜひ、こんな釣りをやってみてもらいたい。流れているエサを食っているシーバスには、確実に流れているルアーの方が反応がいい!これを各地で実証して頂ければ幸いだ。


【使用タックル】

ロッド・・・SW用ベイトフィネスロッド
リール・・・ベイトリール
ライン・・・PEライン0.8号
リーダー・・・フロロカーボン12lb
ルアー・・・チェリーブラッドLL70S



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