猪原 亮

高知県在住。チーム・CATホッグチェイサーズ(海猫)、ショア馬鹿いけいけ2号団所属。

海でスズキ、イカ、青物、フカセ釣りを展開中。



《 ご無沙汰です!磯マサくん! 》


最近、高知県中央部は寒波の影響で水温が低すぎて全く釣れません。なので、何かと救いを求め、高知県西部へ家族で遊びに行くついでに、家族(もっぱら嫁さん)に許しを乞うて、ちょびっと釣りをしています。

今回も前回のヒラに引き続き、2月のとある日に、以前通っていたホームグラウンドの磯にて夕方の短時間勝負を挑んできた様子をレポします。


今回の狙いはデカエバです。最近ルーティンが崩れていて、なかなか釣れてくれません。ルーティンパターンが崩れた原因はおそらく、全国的に冬場の平均水温が上昇したためだと考えています。

真冬、南紀〜四国〜南九州周辺に散らばって成長したデカエバは水温が冷たくなるにしたがい、暖かい南の海へ南下してゆくのでしょうが、取り残された魚は暖かい場所を求めて越冬するのだと思います。そのホットスポット、南の魚にとっては温泉のような場所と言えるのが、黒潮が沿岸近くに接岸する高知県西南部一帯のエリアだったり、室戸岬、潮岬だったりするのでしょう。ただ最近は冬場の平均水温が上昇したことで、黒潮が接岸するようなホットスポットで越冬する必要がなく、群れが散り、なかなかパターンになりえなかったのだろうと・・・

しかし、今年は黒潮大蛇行で潮岬も室戸岬も黒潮は離岸状態。また、大寒波で、紀伊水道〜紀南沿岸、土佐湾沿岸は近年まれに見る低水温となっており、岸から20マイル近く離れた土佐湾中央部の黒潮牧場でさえ水温14℃台!ありえない・・・南方系魚類の大抵の魚が凍えます!その中で、黒潮が接岸しているのは高知県西南部の足摺岬から宿毛湾外海だけ。これだけ条件が揃えば、さすがにデカエバが集結するのでは?と確認の意味も含めての釣行でした。


目的の場所に着くと、マッハで支度を済ませ、マッハで山を降り、釣り座に着いたのは17:25。時間が無い!真っ暗になるまで50分あるかないかでしょうか。そんな時間で何をしようというのでしょう(笑)!ヒラスズキを狙うにしても短すぎる時間です(笑×2)。

もちろんヒラスズキも視野には入れているのですが、産卵期真っただ中ということもあり、釣れても小型でしょうから、やはり最初はトップやミノーでデカエバの反応を見ます。

このポイントは足場が荒いので、釣れた魚が小さめならば迷わずごぼう抜くために、ロッドは11ftのロッキーショアです。ラインはいつも通りナイロン12lbですけどね。まずはトップ!サーディンランのピンクスラッシュをフルキャスト!ダイビングさせたり、スプラッシュさせて誘います。


すると水しぶきも上がっていないのに、グッと抵抗があります。??何?とサーディンランの後方を見ると、ニョロニョロっとした波紋がサーディンランの後ろを追っかけてきます。ダツです。やめてくれよ〜と思いつつ、ダツがいるということは、ベイトもいるのだろうな、とプラス要素に考えます。

次の瞬間、サーディンランの前??をスーパー巨ダツが横っ飛び・・・あれ?糸がふけてる・・・全身を虚脱感が襲います・・・巨ダツめが・・・サーディンランが沖へと虚しく流れていきます。システムも組み直しです。プラス要素と考えたダツの存在に、一気にマイナスへと叩き落されました。


気を取り直してマッハでシステムを組み直します。ナイロンタックルですからね、今まで何万回と作ってきたビミニツイストとオルブライトノット。速攻で作っても100%ノットの強度を出せる自信があります。

次は無くしても痛くない自作ジグで、広く深く探ります。フックはアシスト1本。普段はテールにシングルフックを抱き合わせでセットしますが、このポイントは潮が速く底も荒いため、根掛かり対策と、早くジグを着底させたいからです。まあ・・・普通のセッティングですね。普段の僕のセッティングが普通じゃない。

フルキャスト、底を取ったらワンピッチでジャークします。3投しますが、何も反応がありません。居ないか・・・ともう1投した時、釣り座左手の小さなワンドで2〜3pの子ボラにヒラスズキのような魚がボイルしています!すぐにジグを回収して、とりあえず投げ、表層でリフト&フォールを繰り返しますが、ジグの近くでキラリと反転する姿が見えただけ。


はい、ルアーチェンジ。もう陽が入ってしまいました。暗くなるのにあと20分もないでしょう。マイクロルアーは持ちあわせていなかったので、とりあえず間違って食ってくれたらラッキーと思い、ハルカ125Fレッドヘッドをセット。

幸運にもまたすぐにボイル発生!ボイルの先に投げてゆっくり中を通しますが、反応なし・・・もう1投!まだボイルは続いてる!今度はジャーク&ポーズで変化をつけてみます。すると3回目のジャークを入れたところで「ゴン!」とバイト!

きたー!!よっしゃラッキー!と思ったら、その魚は跳ねずに、水中をギラギラ・・・ああぁ〜ヤズ?まあヤズでも一匹釣れば最低限のタンパク質にはなるから、嫁にも怒られない、とファイト開始。ヤズ相手には強気で一気に勝負を決めたいところです。


一気に足元まで魚を寄せた時です。突然魚のトルクが増して足元に突っ込みます!おおぉ!危ないぃぃー、ヤズごときに切られるとこだった〜と何とかドラグを出してしのぎます。すぐに反撃に移りたいところですが、魚のトルクで持って行かれます。

あれ?ヤズかと思ったけど良いサイズかな?あ、エラ下に掛かって、こっち向かない最悪パターンだな?!などと思いながらファイト。また足元の瀬際に突っ込みます!今度はベールオープンでラインをフリーにしないとかわせないスピードとパワー!!

く、くっそー、いくらちょっと大きいヤズ、もしくは掛かり所が悪いからと言って、なんで、ヤズごときにこんな手こずってんだ、俺は!と意を決して反撃に出ます。手ドラグしながらショートピッチ・ハイスピードポンピングで一気に勝負をかけます!

磯際に浮いてきた魚体は目寸で60〜70pほどか・・・んん?!やけに体の真ん中のラインが黄色い・・腹ビレも長くて鮮やかな黄色・・ヒラマサじゃんかよ!!(←ようやく気づきました(笑))ファイト感覚のブランクですね、ここまでしてヒラマサと気付かないとは・・・一気に緊張が走ります。こいつは絶対獲りたい!!


まだ魚は完全に浮いたわけでなく、足元を右に左に・・・タモで掬いたいけど、タモちょっと遠い・・・5秒あればと思い、一か八かもう一度ラインフリーに。タモを取ったら、足場に戻る間にラインを出され過ぎないように、しかし不意の突っ込みに対応できるよう、フェザーリングで強く止めます。ランディング体勢が整って、ジャスト5秒。この間に15mほど沖へ魚が出てしまいました。

多少弱っていても、ヒラマサはやっぱり速いな〜!すぐにラインを回収し、一気に魚を浮かしにかかります!足元にの左右に張り出したハエ根に向かおうとする頭を竿のバットパワーを使って強引に止めます。浮いたところをタモ入れ一発・・・やったぁぁぁー!!ちょー久々のヒラマサちゃんです。ヒラマサだったらちょびっと手こずっても、しゃーないっす(笑)!



60pのタモ枠から尾鰭がはみ出してるので、思ってたよりもデカい!ジャスト80pでした。ハルカもセンターフックの番手は大きくしていたとはいえ、よく耐えてくれました。最近青物と相性のいいハルカくんです。

しかし、かっこいいな〜マサ男くん。この精悍な顔つきとこの完璧ボディ、堪らんですね!僕が一番好きな魚です!高知県沿岸では15年以上前は秋〜冬にかけてのヒラマサパターンは当たり前でしたが、ここ10年ほどは大変貴重なものになっています。やっぱり水温が上昇したせいでしょうかね。

僕のこのホームグラウンド周辺の磯ではブリ属の魚との遭遇率は、ブリが70%、カンパチが25%、ヒラマサが5%といったところでしょうか。五島周辺〜日本海側や伊豆以北ではあたりまえに釣れる魚かもしれないのですが、高知県では近年特に貴重だと思います。

また、80pのヒラマサといったら、今の世にあるタックルで釣れば、岸から釣れるサイズとしても小さいサイズですが、ナイロン12lbというライトタックルで獲ったサイズとしては、まあまあ納得かなと思います。いやあ、数年ぶりのヒラマサとの出会い、最高です。


と、釣り上げたヒラマサの写真を撮り、処理していると、目の前で突然巨大なナブラが発生!魚のサイズは小さそうだけど、やるしかない!ハルカを付けたままにヒラマサをタイドプールへ入れ、サラナ125Fレッドヘッドに交換して即キャスト!着水ドッカンでバイト!

ヒラマサファイトでクタクタになったラインですが、時間が無いので、そのままで強引ファイト!水中に見えたのはデカエバです!おおーやっぱり居たか、読み通り!こいつこそ今日の本命です!ヒラマサの後なのでちょっと感動が薄いですが、速攻ぶっこ抜いて、写真撮ったらすぐにキャスト!

ギンガメエバ:もう暗くなりかけていて
ピンボケしてます(汗)すんません

3投で3匹のデカエバを釣り上げたところで、もうこれ以上魚を持って帰れないことと、魚の処理時間がかかることを考えると、ここでタイムアップ。もう暗くて写真も撮れません。デカエバは40〜45pほどのギンガメ・エバ。冬のこいつが激脂で美味いんです!


処理が終わると、周りはもう真っ暗・・・たった1時間弱の釣行で、時合いはさらに日暮前の20分のみ。濃い〜濃い〜1時間でした。帰りは、総重量8キロ以上の魚を持ち、幸福感に満ちた地獄の山道でした。近々また来るぞ!


● 使用タックル

ロッド ロッキーショア11ft
リール ツインパワー5000PG
ライン ナイロン12lb+フロロ8号リーダー
ルアー サーディンランピンクスラッシュサラナ125Fレッドヘッドハルカ125Fレッドヘッド



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