猪原 亮

高知県在住。チーム・CATホッグチェイサーズ(海猫)、ショア馬鹿いけいけ2号団所属。

海でスズキ、イカ、青物、フカセ釣りを展開中。



《 高知冬のサーフ〜変化〜 》


年末から年始にかけて、過去にないほどコンスタントな釣果が出てきたホームグラウンドの河口サーフ。初釣り後も数本のヒラスズキやマルスズキをゲットしつつ、潮が変わって、朝の時合いになった日のことでした。

ヒラスズキがコンスタントに釣れていた河口内側へ暗いうちから入って、サラナマックスか125Fの必殺ゴーストマーブルを投げますが、夜が明け、明るくなるまで何も起こりませんでした。「あれ?、どこ行ったんかな?さすがに居らんなったか?」

河口の形状や水深はほぼ変わっていません。ただ朝の干潮周りなので、潮が引かず潮位が高い状態で、ルアーが魚に届いていないだけなのかなと。「これは仕方ない」、と河口外向きのサーフの沖を見ると・・・沖で何やらボイルらしき波紋が立っているではないですか。


その距離約300m。ボラもたくさん跳ねてます。ただ、ボラが跳ねると、飛び上がった魚体が見えた直後、腹打ちしながら着水するので派手な水しぶきが上がります。そしてそのリズムが2回、3回と規則正しく繰り返されるときもありますので、ほとんど見間違うことはありません。魚が居ない時の現実逃避で、「今のはボイルだったのでは?!」と、テンションを維持するために、間違いと分かっていても期待を込めることは有るには有りますが、まあどう見たって間違えません。

この時は、ボラジャンプではなく、水しぶきだけが不規則に数回連続したり、ジャンプ後頭から綺麗に着水し、水しぶきがほとんど散らない細身の魚も居ます。あれは・・・サワラじゃね?・・サワラだ!とうとう来たか!しかもデカい奴はメーターほどありそう。

ボイルが頻発するサーフの中ほどまで、沖を凝視しながら歩いていると、一人のおんちゃんがルアーを投げながら歩いてきます。そのおんちゃんが投げているルアーのすぐ傍で、ボイルらしき水しぶき!かなり近い距離でもやってるじゃん!

「今、すぐ横でボイルしましたよ!」とおんちゃんに声を掛けながら、飛距離重視のハルカ145Sレッドヘッドに替えます。するとおんちゃんは、「あ、ボラよボラ。」と言います。いや、絶対何らかのフィッシュイーターですって!

ハルカを投げていると、数メートル横の浜でトンビが何かをかすめ取りました。トンビが何かを波打ち際で足キャッチするのは間違いなく魚です。すぐ走っていくと、そこには指3本半〜4本サイズのカタクチイワシが2匹打ち上がっていました。

これを喰ってんのか〜小さいな。この日持っていた一番細身で、シルエットが小さめのルアーは、ハルカ125Fカタクチレッドベリーのみ。射程ギリギリ〜その沖でボイルが起こる中、頑張って投げてみましたが、この日は魚信を得ることができませんでした。

打ち上げられたカタクチイワシ


ただ、これは大きな変化です。翌朝は手持ちの小さめルアーズを動員してリベンジです。用意したのは、スーパーウルム・シングルフックバージョン・ブルーピンク、サラナ95Fゴーストマーブル、メタルフォーカス40gです。時合いは夜明け以降ですが、7:00までしか釣りができないので、チャンスタイムはたった40分です。

この日は最初からサーフのど真ん中に陣取ります。薄明るくなってきたとき、波打ち際で何らかのボイルとモジリが見えました。まあまあ大きそうです。すぐに至近距離用のサラナ95Fを付けてキャスト開始。搭載できる針が小さいので、ハリが伸びるのを防ぐため、ドラグゆるゆるプランです。

数投していると、引っ手繰るようなアタリ!ドラグを滑らせながら巻きアワセをすると、波打ち際でジャンプします。どうもヒラスズキの様です。60センチを少し切るくらいのヒラスズキでした。

なかなかのコンディションです。やっぱりベイトを追って川の外に出てきていたようです。ヒラスズキをリリースしていると、沖で数発のボイルが起こりました。その周りで4羽の鳥が舞っています。始まったな!?


ボイルは遠いですが、前日のように突然射程距離内に魚が回ってくることもあるかもしれないので、飛距離重視のスーパーウルムに変更です。とりあえず、飛ばせるところまで飛ばして、表層付近をスローリトリーブしながら、時折トゥイッチを入れます。残り時間は20分。

1回目のボイルの後は何も起こりません。「うあぁ・・マジか。あれだけ?あと5分だよ。」と思った時、キャストして数メートル巻いてトゥイッチを入れた直後、サーフェッサー98の穂先がぐぅ〜っと持って行かれました!スーパーウルムはシングルの太軸を入れているので、ドラグを少し締め気味で巻き合わせます!のった!!

沖でヘッドシェイクする感触が伝わってきます。たぶんサワラではなく、ブリです。そんなには大きくなさそう。時間が無いので、一気に勝負を掛けます。浜にずり上げたのは70後半くらいのメジロ級のブリでした。

そんなに大きくはないですが、まあまあの丸さをしたブリ。カタクチのマッチザベイトを意識した、少しシルエット小さめルアーズを使って、すぐに結果が出たことに満足です。このパターンでサワラが接岸したら、何とかバイトに持ち込めるのでは?と淡い期待を抱いて、この日は終了です。


翌朝も、前日の結果をもとに小さいルアーズを駆使して、サワラを待ちますが、なかなか手前にやってきません。ブリもスズキも当たらず、サワラが沖で跳ねている様子を、指をくわえて見ているだけで終わりました。その日以降、そんな日が数日過ぎ、全く魚のアタリが取れないまま、低気圧の通過によって大時化・大雨となりました。

この雨によって、河川は季節外れの大増水。カタクチパターン消えてしまったかも。ただ、このような気象攪乱はチャンスでもあります。環境や地形がガラッと変わる大きな変化をもたらします。

増水と波が少し落ち着いてきたある日の朝、出撃してみました。夜明けにポイントに入ると河口は広大に広がっていました。ここまで広いとポイント絞りにくいな〜というほどの広さです。対岸までは余裕で100m以上あります。狙うは自分の足元にあるブレイクしかありません。

増水がらみは冬と言えど、どんな大物が来るか分かりません。アカメだって可能性あります。しかも寒いときほど、デカいやつが釣れることが多いそうです。バス釣りもそうですよね?冬の雪が降るような時にシャローに差してくるのはデカバスが多かったりします。体が大きい個体ほど寒さに強いのです。


期待を込めて、サラナマックス・レッドヘッドを投げます。なぜレッドヘッドかというと、増水によってまだ水に濁りがあるので、シルエットがはっきりしやすいかなと思ってのことです。状況が分からない時、困ったときのレッドヘッドです。

河口内の100mほどのストレッチを、上流からダウンストリームで岸際のブレイクに沿わすように流していきます。中ほどまで来たとき、浜を歩く大きめのカニを発見します。モクズガニです。高知ではツガニと言います。周りを見ると他にも2匹歩いています。

こ、これは南九州でいう、アカメのツガニパターンが成立するのでは?と期待が膨らみます。アカメはツガニが大好きだそうです。


そこから少し釣り下ると、もう海からの波が入ってきます。6:45。この日も7時までなので、あと15分です。マックスが引き波と川の流れに乗ってさらに引き抵抗が大きくなったところで、リールが巻けなくなるほどの抵抗!根掛かる場所ではないので、これは魚だ!と強引に巻きアワセます!

一気に40〜50mほど沖に向かって走ります!デカい!川の流れも強いので、止まりません!こいつは・・・アカメじゃないか?!来たんじゃないか記録級?!止まっても、さらに5〜10mほど引きずり出されます。

じっくりバットを使って溜めて、頭をこちらに向かせます。さあ、ちょっと時間が掛かるぞ、と思っていると、頭がこちらに向いた後は思ったよりスルスルとこちらに寄ってきます。「あれ?」時折、首を振る中、反転した時に、クンクンクンと小刻みに尾を振る感触が伝わってきます。アカメじゃないな。ブリだな。

相手が分かったので少し強引にファイトを開始です。バットを入れてグイグイと浮かしにかかります。ただやはりサイズが良いのか、川の流れもあって簡単には浮いてきません。おりゃ!と浮かせたのはやはりブリ。しかも今季一番のサイズかも!


浜にずり上げると、フロントはしっかりかんぬきに掛かってます。頭の向きをコントロールできて、これだけ手こずるのはやはり大きいからです。サイズを測ると97pと今季最大サイズです。重さはそんなでもありません。8キロあればいいかなというところです。

ちょっと痩せ気味だったので、これもリリースします。良いファイトでした、ありがとう!アカメかと思ったので、ちょっとピリピリッとした緊張感のあるファイトができたのも今後のためになりました。





今後はこの増水パターンがいつまで続くのか、そしてまた平水となったときに、また何かしらの変化が起こるのか。通える限り通って、その変化に対応しつつ良い魚をゲットしてみたいものです。


○サワラが釣りたい!!

サワラはどちらかというと「午後からの魚」とよく漁師さんは言います。定置網も朝の網より昼からの網の方がサワラは入ることが多く、また冬にサワラ専門で曳縄漁をする漁師さんは昼から出漁し、夕方帰ってきます。昼以降の方が活性の上がる魚のでしょうか。自分もそれに倣って夕方釣行をしたいところですが、なかなかそんな時間が無いのが現実。朝釣るしかないな〜。


● 使用タックル

ロッド サーフェッサー98
リール ツインパワーXDC5000 XG
ライン ナイロン12lb+リーダーフロロ8号+ファイティングリーダー12号
ルアー サラナ95F・ゴーストマーブルサラナマックス・レッドヘッドスーパーウルム・ブルーピンクハルカ145S・レッドヘッドハルカ125Fカタクチレッドベリー



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