冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2013 飛騨川釣行記 2 》


■ 飛騨川 久々野

 本流域のアマゴに出会いたくて、放水口からの水で流れのある久々野周辺を、国道からの眺めを頼りに探っていった。既に鮎は解禁済み。流れのあるポイントは鮎師が入っている。トロ場や流れ込みのある淵など水深と流れを意識してポイントを探っていこう。入渓ポイントもわからない中で気が遠くなりそうだが、いい出会いのための大切な作業。

 渚駅周辺の淵でやっと最初の魚と出会えた。パニッシュ55F黒銀ホロをダウンで流しての釣果。25cmと小振りだが、本流育ちの体高のある魚体に少し満足。周辺のポイントでも小型のアマゴが積極的にアタックしてきたが、期待のサイズではなかった。



■ 飛騨川 朝日

 淵と巨大な岩の上流に堰堤がある高低差のあるポイントに入る。昨年この淵は網漁で攻められなかったので、網の入る前に是非攻めたかった場所。

 まずは堰堤の落ち込みにパニッシュ55Fを流すと22cmほどのアマゴが飛び出してきた。浅いが流れのある瀬でエサの流下を待っていたのだろう。ヒットと同時にジャンプし、下流に走ろうとする活性の高い魚であった。ロッドで走りを止めると水面で激しくローリング。テールフックへのバイトだったのでバレを心配したが取り込むことができた。

 その後本命視していた大岩と淵を攻めたが、小型ばかりでここでも良型は留守だった。


 今日は浅くても流れのある瀬で反応が良かった。そこで同様のポイントを探し上流に入りなおす。このポイントは少し流れにも勢いがある。パニッシュ55SPとルナS、深みや大きな岩がある所ではジェイドMDを使い分け釣り下っていく。ここでは流芯を少し外した岸や岩のヨレからの反応がよかった。白泡で水面が荒れているポイントにはうまくルアーも入れられなかったし、魚も定位できなかったのだろう。



■ 飛騨川 高根第一ダム バックウォーター 日和田川

 午後からいよいよバックウォーター。狙いは雨上りの増水で上流に差している大型の遡上マス(アマゴ)。いつかはこれを仕留めたくて前回の秋神に続き、高根第一ダムのバックウォーターに入るのが今回の目的だった。天気は晴天。初めての渓。期待と不安とが交錯し複雑な気分でけもの道を下っていく。

 水量は充分。濁りもない。エメラルドグルーンのダム湖には多くの流木が浮いている。あまりに澄んだ水色は釣り師には都合が悪く、すり足で水辺の岩陰に身を寄せ、アップキャストで落ち込みや岩の周りを打ちながら上流を目指して行った。ロッドは万一に備え、インターボロン IBXX-60MT。もう少し短くてもよいが初めてなので汎用性の高いこのモデルにした。イワナは出るがアマゴからの反応はない。


 暫く進むと厚い雲により辺りが薄暗くなり、急に雨が激しく降ってきた。スコールのような降り方に少し危険を感じ、すぐに岸にあがり期待のバックウォーターは敢え無く終了となった。ランドロックは次に持ち越しになった。先行者が攻めた後なのか?


■ 飛騨川 ダム下流 朝日

 雨でバックウォーターからの退渓を余儀なくされたが、日暮れには早かったのでダム下に向かうことにした。雨上がりの渓は霧が立ち込め、幻想的な雰囲気だった。水田の畦を通り、川底が岩盤になったポイントに入る。このポイントは脆くなった岩盤が流れで削られ、深いスリットが刻まれており、魚たちの恰好の隠れ家になっている。下流から攻めたいところだが、ジャングルでとても入れる状態ではなかったので、仕方なく真横から静かに近づき釣り下っていった。

 先ほどの雨で少し濁りも入り、水にも勢いがある。大型への期待がますます高まる。定番のパニッシュ55Fの黒銀をアップキャストで対岸ギリギリにキャスト。正面までドリフトさせ、ダウンになったところで誘いを入れるが反応がない。

 次にトレースラインを変え、スリットで強めのトゥイッチを入れると良型が姿を現した。ピックアップ寸前で逃げ場が無いため、仕方なく八の字でルアーの軌道を確保し、なんとかフッキングに持ち込んだ。背中が岩盤に溶け込むような赤茶けた色をした今日一番の美形アマゴ。すばやく画像に収め釣りを続けたが、ここでも大型の姿を見ることはできなかった。


 18時30分。普段なら日暮れのこの時刻で釣りをすることはない。ただ今日は雨により適度な濁りが入り、魚の活性が高まる条件が揃っていた。何か予感めいたものを感じていたので、下流の淵でしばらくキャストすることにした。

 対岸の木々や岩さえはっきり見えないなかでのキャスティング。トレースラインもポイントを外しがちな中、思わぬところからバイトがあった。暗くなると思わぬ浅瀬に入ってくるとは聞いていたが、足元の浅瀬からの突然のアマゴ。魚の警戒心も薄れていると感じる一瞬だった。


■ ビッグチャンス

 日暮れからの活性の高さを実感し、いよいよ最後の淵に移動する。中央の大岩で流れが二つに分かれ、下流の淵につながるポイント。狙いは合流点と岸際のかけ上がりに絡む沈み岩。昼間物陰に潜んでいた大型の活性が上がってはいないか?

 充分にルアーを目視できない状況では、根がかりのリスクも避けるためフローティングミノーで表層に賭けるしかない。そこでパニッシュ55F 黒金で大岩や合流点をゆっくり魚に見せるように流してみる。10分ほどキャストをしただろうか。そろそろ終わろうか思ったときだった。ピックアップ寸前にルアーとは明らかに異なる僅かな反射光が目に入った。あれ。そこで下流にしっかり流した後に岸際をゆっくりと引いてくると、何かがルアーを追っているように見えた。あわててロッドティップでUターンさせると、なんとルアーにアタックしてきた。やった。喰ったぞ!すぐにロッドで合わせを入れたが、直ぐに外れてしまった。

 結局8時頃まで暗闇の中キャストし続けたが、魚からの反応はなかった。逃してしまったのは残念だったが、大型魚とコンタクトできた事がうれしかった。しかしデカかった。


■ 飛騨川 朝日町地区

 雨はほぼ一晩降り続き、渓は朝霧で覆われている。あの魚が脳裏から離れず、今朝もあの淵にまた来てしまった。可能性は低くても、どこからどのように喰ってきたのかを見ておきたかった。昨日の記憶を頼りに状況を分析し、次回の攻略に生かしていく。この積み重ねが明日の釣果に繋がるだろうから。

 じっくり時間をかけて攻めたが、当然のことながらあの魚が再び姿を見せることはなかった。ただ残念なことばかりではなかった。落ち込みの脇から今期初の尺クラスのイワナが喰ってきたのだった。パニッシュ55Fで表層を探ったあと、ジェイドMDのフォローに反応したのだった。活性の高い魚だけを拾う釣りから、AKM48、ジェイドMD、D-コンタクト・インサイト等でボトムにフォローを入れる攻略が身につき、これまで獲れなかった活性の低い魚をバイトに持ち込めるようになってきた。様々なルアーを実戦で試すことでその特性を理解し、状況により使い分け釣果を重ねる。これにより少しずつ攻略の幅が広がっていることは間違いない。



■ 飛騨川 高根第一ダム バックウォーター 阿多野郷川 飛騨川

 午前中に昨日の反省を終え、午後から再びバックウォーター探索。今日は高根第一ダムの阿多野郷川と飛騨川。阿多野郷川と飛騨川の出合いは湖面が迫っており、ダム側に釣り下ることはできなかった。落ち込みからジェイドMDで小さなイワナを引き出したあと、落差のある大岩の連続する阿多野郷川を釣り上がっていく。ただ本命ポイントで全く反応が無い。恐らく先行者が攻めたあとだろう。これだけの水量と変化のある渓相でこの反応は考えられない。

 良型のイワナは期待できるが、ランドロックには厳しいほどの落差の渓だったので、真夏のイワナ狙いか、ダムの水位が落ちたときにまた来よう。ただ流木がすごいので釣りができるか問題だ。


 次に飛騨川。阿多野郷川出合いから上流500mは禁漁区。川へは旧道を進み入渓点を探す。飛騨川までは50mほどの急な崖を下る必要があるが、幸運にもトラロープを発見しバックウォーターに降りることに成功した。

 ダムの影響だろうか?小石が体積し、水深の浅い平瀬が続く。アマゴの反応してきてもいいのだが、喰ってくるのはイワナばかり。上流にアマゴの沢があればランドロックの可能性は充分にあるだろう。今日のところはイワナの顔を見るだけで終了にしよう。



■ 大アマゴを求めて

 昨シーズンから飛騨川(益田川上流)を攻めるようになった。手探りではあるがポイントの特徴も少しずつ掴めてきた。ただまだ入渓したことのない支流が存在し、水量のある本流域もいまだ攻めきれていない。時間はかかるだろうが経験値を高めることで、大型のアマゴになんとか出会いたい。

 婚姻色の入った個体。本流育ちの幅広。ランドロックの遡上魚。いずれもなかなか一筋縄ではいかない魚たちだが、この飛騨エリアなら可能性はある。なんとか記憶に残る一尾との出会いを求め、禁漁まで地道に通うことにしよう。ただ少しずつその距離は縮まっているように思われる。


● マイタックル

◇ロッド スミス インターボロン IBXX−60MT
◇リール シマノステラ C2500HGS
◇ライン ラパラ ラピノバ PE0.6号
◇ルアー スミス パニッシュ 55F・SP AKM48 ジェイドMD F・SP
ジェイド F・SP トラウティンウェイビー50S ルナ47S・SP
Dインサイト44・53 Dコンタクト Dコンパクト
ピュア日本アワビ5g  ハンドメイド50SP 65SP他



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