冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2014 天竜川ルアー・フライ専用区釣行記 》


■ 天竜川ルアー・フライ専用区(管理釣り場)

 この釣り場は、11月から翌年2月末までの間、ルアー・フライ専用区が浜松市天竜区の天竜川本流に設定されている。ターゲットはレインボー。かつては80cmクラスの魚も多く放流されていたが、現在は50cmクラスが中心のようだ。

 最上流の秋葉ダム〜船明ダム間の本流に設定され、年券が4000円と比較的安価な設定により名古屋方面からの来場も多く、禁漁期のトラウトファンを楽しませてくれている。釣り場は秋葉ダム下の変化に富んだ上流域の「中島」、ダムの放水口下流で流れのある「鮎釣」、ダブルハンドが振れるダイナミックな「雲名」の3か所で構成され、漁協の定期的な放流で釣り切られることなく楽しめる管理釣り場だ。


■ 最上流部 中島

 入川したのは最上流部の中島。C&R区間で、瀬、淵、トロ瀬など変化に富み、沈み岩や岩盤が絶好の隠れ家になっている。秋から晩秋は流れのある瀬でのファイトも楽しめるが、真冬の今は障害物周りや深みを探る釣りが中心となる。早朝にいい思いをしたことが無いため、今回も水温の上昇を待って午後から喰いが立つ夕マズメを狙うことにした。


■ ポイントチェック

 いつものことだが、ポイントを見渡せる高台から様子を伺い、今日のプランを立てる。穏やかな天候で絶好の釣り日和なのだが、年始早々なので釣り人が少ない。魚の居場所を把握しようとしばらく眺めていたがどうも反応が芳しくない。ヒットはおろかライズすら確認できない状況に厳しさを認識する。人口の池ではないので攻め方を間違えるとノーフィッシュも十分ある。この緊張感も魅力の釣り場なのだが、新年早々ノーフィッシュは避けたい。早速ダム下の落ち込みから真剣モードの釣りを始めた。


■ 落ち込みの瀬

 河原に下りると日差しが気持ちいい。この天候で瀬に差している元気な魚がいるのではと流れのあるところから攻めていくことにした。

 ロッドは渓流用のメインロッド、インターボロンIBXX-60MT。流れのある本流でミノーイングを主体としたスタイルのため、エリア用ではないこのネイティブトラウトモデルを使っている。ルアーはパニッシュ55SPのシングルフック仕様からスタート。70cmクラスのヒットしも想定し、太軸のシングルフック仕様でキャストを開始。落ち込みから流れが当たる岩の前後や脇の淀みにルアーを通すが、キャストの度に緑藻が絡みつき、なかなか思うような釣りができない。

 しばらく瀬を攻めたが反応はなく、流れの緩い下流に向かうことにした。今日は流れのある瀬には入っていないようだ。


■ 魚はどこに

 淵に落ち込んだ流れは水中の岩盤で一旦絞り込まれ、中央の馬の背で右岸のトロ瀬と左岸の瀬に下っていく。流れも緩急を繰り返し、左岸の寄りに強く早い流れが通り、私が入川した右岸は淵や遠浅のトロ瀬が続く。放流された魚は、水位の上昇や季節により移動を繰り返し、つき場はその時々で若干変化しているようだ。

 今日は落ち込みからの淵や淀みをインジケーターで釣りを楽しむフライマン。流れが当る対岸はルアーマンが攻めていたが、どちらも魚からの反応は無さそうだ。魚の気配も感じられないため遠浅のトロ瀬と沈み岩、馬の背の周りの緩流帯が今日のつき場ではないかと判断し、下流に下ることにした。


 これまで経験からこのポイントでは大型ほど流芯を嫌う傾向があり、トロ瀬の大岩のエグレなどの障害物周りから突然喰ってくることが多かった。また水深は深くないのだが透明度が低い水色により、足元で突然喰ってくることもあり、ピックアップまで気が抜けない。天然河川の管理釣り場なので流れを攻めたくなるのだが、季節や気温、水温を考慮しないとなかなかヒットには繋がらない。今日は流れの当たるポイントでの反応は得られなかった。一方他のアングラーが攻めていた淵のボトムからも反応が無かったことから、流れが緩くあまり深くない障害物のあるポイントが怪しいと考え釣りを続けていく。

 早速トロ瀬の障害物周りをパニッシュ55Fで表層から念入りに攻めていく。表層に反応がなければ次は中層。ウェイビー50Sを沈め、ルアーローテーションしながら各レンジを探り、魚のつき場を絞り込んでいく。キャストも手前から丁寧に。反応がなければ静かに立ち込み、流す角度を変えてアプローチしていく。

 しばらく攻めたが反応が無いままトロ瀬の瀬尻にまで来てしまった。落ちこみに向って緩やかにかけあがっている。対岸寄りにキャストし、早い流れを横切らせ、大岩の足元にウェイビーのTSカラーを送り込んだ時だった。岩の手前でヒラを打たせると足元から魚がバイトしてきた。小さな当たりとともに水面に姿を見せたのは50cmほどのニジマス。ゆっくりと首を振り、ごねるような動きとともに上流に走った。装着したフックは細軸だったので慎重にやりとりし、掛かりどころを確認しランディングに持ち込んだ。斑点が濃く、頬に鮮やかな色の入ったニジマスであった。これで今日の魚のつき場に確信が持てた。同様のポイントを探しながら2尾目を目指した。


■ 魚の気配

 午後3時近くなり魚のライズが見られるようになった。活性が上がったのか?浅く緩い流れから徐々に魚たちが流れの中に入っていく気がした。流れのあるポイントからも時折魚の追いが見られるようになった。そこで少し流れのあるポイントを攻めようと取り出したのは沈みの速いソルト用のAKM48。自重はあるがシングルフックで機敏さが増し、スローリトリーブでも水を掴み、キレのある泳ぎを見せてくれた。シンキングなのでレンジコントロールも容易で、中層からボトム附近を上手く流すことができた。これなら使える。トゥィッチングでの反応もよくアピールも強く、抜群の飛距離で広範囲に散った魚を探すときにも威力を発揮してくれそうだ。

 距離のある対岸寄りの岩の手前に落とし、アクションする最も遅いスピードで泳がせながら、狙いのポイントで変化を加えリアクショで誘う。カラーはイカナゴカラー。しっかり沈ませスリット状の岩の脇を通過させ、そのまま早い流れを横切らせる。水を掴んで激しい動きを見せたAKMが穏やかな動きに変わり始めたその時、魚からの当たりがあった。今回は流れの中でのただ巻きで反応してきた。45cmほどのニジマスで、色は濃くないがウロコが鮮やかな頬の赤い綺麗な魚。この魚も流れが緩くなった中層からボトム付近に潜んでいた魚だと思われる。



■ 夕マズメ

 午後3時を過ぎアングラーが増えてきた。魚の喰いの立つ時間が解っているのか?他のポイントからの移動組なのか?いずれにしても少し密度が濃くなった。

 一方対岸でこちらの2度のファイトを目撃し、左岸の反応の無さにしびれを切らせたフライマンも右岸に移動してきた。先ほどまで私が攻めていたトロ瀬のポイント立ちこみ、インジケーターを流し始めた。流れのあるポイントを諦め、実績のあるポイントで勝負に出たようだ。ただ時折流し直すフライラインにより水しぶきが上げるので、プレシャーを避けるため少し距離を置くことにした。

 次に入ったのは上流の大きな淵からの絞り込みとその周囲のかけあがり。このポイントは流れに対し岩がスリット状に並んでおり、溝のボトム付近に魚がついていることが多い。また絞り込まれた流れが緩やかにかけさがり、この地形変化に魚がつくことがしばしばあった。この変化をAKM48やウェイビーで探っていく。この頃浅瀬でライズがしばしば見られるようになり、フィーディングを意識した魚の気配を強く感じた。夕マズメを迎えやる気になってきたようだ。

 そんな時、下流のフライマンにも当たりがあった。リールファイトで応戦している。大きさはやはり50cm前後。やはりこのサイズまでか?


■ ラストチャンス

 いよいよ日が陰り始め、表層を意識し始めた魚はいないかと棚を少し変えてみた。バルサのハンドメイドにルアーチェンジ。少ない移動距離で高いフラッシング効果が得られるこのミノーのアピールは絶大であったが、やはり表層で喰ってくるほどの高活性ではなかった。

 再びレンジを中層に戻し、ゴールド系のウェイビー50Sゴールドヤマメに結び替える。溝の深みに潜む魚を想定し流し直していく。アップで攻めたのちに、アップクロス、ダウンクロスと流すラインや岩、溝を変えながら魚からのバイトを誘う。クロスでキャストしたウェイビーが流れを掴み、大岩の側面に差しかかった時、足元についていた魚が反応し口を使った。咥えた瞬間に合わせを入れると魚は首を振り、無常にもウェイビーは弾かれてしまった。至近距離だったので一部始終を確認できたが、それが災いし合わせが少し早かったようだ。伸びの少ないPEの影響もあったのかもしれない。

 結局このチャンスを最後に今回の釣りは終了となった。久し振りの管理釣り場、今年初めてのトラウトフィッシング。初釣りで厳しいながらも魚の顔がみられたことは良かった。ただ50cm前後がアベレージで、スリリングなライトタックルゲームを期待していただけに少し残念な気がした。

 いよいよ2014のサクラマス解禁まで1か月を切った。天竜川本流に設定されたこの管理釣り場で勘を取り戻し、来たる新たなシ−ズンにいいスタートを切るため、機会があればまた攻めることにしよう。


● マイタックル

◇ロッド スミス インターボロン IBXX−60MT
◇リール ダイワ ルビアス 2000
◇ルアー スミス AKM48 ウェイビー50S
   パニッシュ55F 55SP DDパニッシュ65SP
   Dインサイト44 ハンドメイド65S 70S他  ピュア5g
◇ライン ヨツアミ G-SOUL PE0.6号


■天竜川漁協 ルアー・フライ専用区(H25年度)

◇区間  秋葉ダムから船明ダム間
◇C&R 秋葉ダムから鮎釣間(約4km) バーブレスフック使用
◇対象魚 ニジマス
◇漁期  11月から翌2月末
◇遊漁料 年券4000円 日券1000円 現地プラス1000円
◇問合せ 天竜川漁協 053-926?0813 
◇WEB http://www3.ocn.ne.jp/~tenryu-r/



[ 戻る ]