冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2014 飛騨川釣行記 》


■ 盆明けの飛騨川

これまでの渇水が嘘のように、8月に入り飛騨方面には雨が多かった。とくに宮川水系の山々にはゲリラ豪雨のように雨が降り、その影響で宮川は状況がいいようだ。飛騨川も台風などによる水位上昇で淀んだ川底は一掃され、久しぶりに川にはいい流れが戻っていた。

 

 そこで水位が落ちついた盆明けの週末に、久しぶりの飛騨川釣行を計画した。狙いは秋色アマゴ。本流域から渓流域に差してくる遡上魚。パーマークに薄紅を纏った妖艶で何とも言えない美しいアマゴ。まずは支流の小坂川から竿を出すことにした。



■ 小坂川

 小坂川は嶽山の西側を流れる飛騨川の一大支流である。下流部は大岩を切り裂くように太く強い流れが通り、メリハリのある素晴らしい渓相により大アマゴの期待が高まるそんなフィールドだ。小坂ダムからの本流差しも期待でき、前から気になっていた。

 

 数日前の増水の影響だろうか、流れは強く狙っていた淵のポイントには近づけなかった。しかたなく最下流部はあきらめ、その上流から川通しに行けるところまで攻めることにした。

 

 支流とはいえ流れはまさに本流。ロングキャストの必要性もあり、今回のロッドはインターボロンIBXX−66MT。ルアーは5cmの渓流用から7cmの本流用まで状況に応じて使い分けるため、普段の60MTよりもロングキャストが可能なこのモデルを選択した。



■ ファーストヒット

 最初はいかにも魚が足を止めそうな流れ込みに岩盤と淵が続くポイント。ここはさすがに攻められていたようでまったく反応がなかった。

 

 次に民家の脇から瀬のポイントに入り、大岩回りの水深のある落ち込みを攻めた。しかしここも全く反応がない。攻めるべきポイントは当然のことながら先行者が叩いているようだ。


 

 時刻は午後4時。少し小雨が降り周囲が薄暗くなってきた。そこで視点を変えて、瀬で餌を取りに出ている魚はいないかと、瀬を流してみることにした。ルアーはDDパニッシュ65SP。

 

 するとすぐに反応があった。瀬を流し切ったところで突然ひったくるようなあたりとともに、アマゴがパニッシュに襲い掛かった。こんなところに居たのか。日が陰り警戒心が薄れたのか?本日最初の魚は良型のアマゴ。バックリと腹のフックを咥えていた。



■ DDパニッシュ65

 小坂川は大型のプラグに反応がいい川だと思っている。本流を思わせるダイナミックな渓相や、鮎の存在によるものなのか?今日も少し大き目の65mm。DDパニッシュに反応があった。

 

  このプラグは長さこそあるものの、スリムなシルエットゆえにあまり大きく見えないのかもしれない。長いリップはディープエリア攻略と云うよりもレンジキープの性格が強く、あまり潜りすぎることなく流れにも強いのが特徴である。早瀬で水を掴ませながら流す。そんなMD感覚で使えるミノーである。



■ 飛騨川上流

 翌朝は小坂川を離れ、飛騨川上流部に入る。ダムで取水されているため小坂川ほどの押しの強さはない。ここではいつもの50mm前後のプラグで丹念に岩の前後の深みやえぐれ、落ち込みを中心にルアーを通していく。先行者は居ないはずだが魚からの反応は薄く、日差しが眩しく感じられる状況では反応するのは小型のアマゴだけだった。

 

 ヒラキのポイントからは良型の姿は見られず、居場所を求めて少し水深のあるポイントに移動する。 農業用の取水のために流れが堰き止められ、両サイドに木々がオーバーハングした、薄暗い淵への流れ込み。シャローをパニッシュ55F、ウェイビー50で探ってみたが反応はなく、流れ込みを攻め終わる頃には、天候が急変し雨が降り始めた。



■ 深場を攻略

 表層で反応が得られなかったため、次にレンジを下げていく。そこでジェイドMDを投入。対岸の岩盤めがけて遠投し、急潜行させながら中層以下を探っていく。ジェイドの潜行能力を最大に引き出すためにロッドティップを水中に沈め、ゆっくりとリトリーブしながらポイントに送り込んでいく。

 

 何投目だっただろうか?これまで何の反応もなかったこのポイントだったが、突然足元でひったくるようなあたりとともに、アマゴがヒットしてきた。ピックアップ寸前だったので、引き寄せるとすぐに水面に浮上してきた。大きい。尺超えの良型だった。夏から秋色に衣替えの最中の個体。出遅れたなかでの今シーズン初の尺上であったのでうれしかった。


 表層で全く追いがないため活性の高い魚は居ないとすぐに諦めず、レンジを変えて深場にフォローを入れたことが良かった。

 

 その後ジェイドMDにも反応が無かったために、とどめD−コンタクトをボトムに沈めてみた。しっかり対岸の岩盤際をテンションフォールさせながらボトムを取った数等目。再び魚からの反応があった。派手な朱点の良型アマゴ。これまた良型。先の魚とは明らかにパーマークや朱点の模様が違っている。



 素早く写真を撮って、リリースし、最後にピュア5gの日本アワビをキャスト。しかしさすがに集魚効果の高いスプーンでも、これほどしつこく攻めたあとでは全く追いもなかった。さすがにここまでか?  


■ 夏から秋

 夏から初秋にかけてのこの時期は、産卵を控えた個体と、参加しない個体が混在し、いつも魚の居場所を見失うことが多い。小型や産卵に参加しない魚は元気に真夏の日中でも瀬の中からルアーにアタックしてくれるのだが、大型はなかなか反応してくれない。やはり良型は深場や木陰に身を潜め、遡上のタイミングを計っているようだ。こんな時は水深、日蔭の2つの要素が絡んだポイントで答えがでることが多い。


■ 秋 深場 リアクション

 午後からはこの攻め方でアマゴからの反応を拾っていった。表層を念のためミノーで確認したのち、ジェイドMDでレンジを変えると急に反応してくることが多かった。ゆっくりと潜行させながら深く送り込み、喰わせの間を時に与えながらリトリーブを続ける。一旦止めた後の巻き始めに喰ってくることも多く、何時来るかと思いながら引いてくるのはワクワクする。

 

 反応が無いときは、深場で激しくトゥイッチを入れて無理やり反応させ、ピタッと止めると堪らず食ってくることもある。魚は食性だけで口を使っているわけではなく、産卵を控えた秋は、威嚇のために口を使うことも多いと考えている。夏までは2度目はなかなかないのだが、反対に秋はしつこく追う魚影をしばしば目にする。何度もルアーを通し、焦らし、怒らせバイトを誘う。秋はそんな攻め方が通用する季節でもある。やる気ある高活性な魚を狙うランガンの釣りも楽しいが、持てるテクニックを駆使し、簡単に反応しない賢い大型魚と対峙するゲーム性の高い釣りはもっと楽しいのである。


 ジェイドMDはスピーディーなランガンの釣りではなく、魚との間合いを詰め、駆け引きを楽しみながら狙った魚を獲る。むやみに擦れさせることなく、静かに近づき、徐々に深場に狙いを絞っていく。そんなフィッシングスタイルにピッタリのルアーだ。

 

 近年渓流をルアーで楽しむ方が多くなり、誰も入っていないフィールドで自分の釣りを展開することは難しくなった。当然フローティングミノーだけでは勝負にならない場面もあり、アピールの強いルアーに擦れて反応しなくなった魚も多いはず。そんなときにタイトなアクションで擦れた魚をその気にさせる。深場に潜む老獪な大型にアピールできるルアー、ジェイドMDをぜひ一度お使いいただきたい。きっと渓流での新たなあなたの武器となることでしょう。思わぬところから、竿抜けのポイントから、釣り人の攻撃を賢く潜り抜けた良型があなたを待っているかもしれません。



● マイタックル

◇ロッド スミス インターボロン IBXX−66MSD
◇リール シマノ ステラ C2500HGS
◇ルアー スミス ジェイドMDF・SP ウェイビー50S
   パニッシュ55F 55SP DDパニッシュ65SP
   ピュア5g日本アワビ
◇ライン ヨツアミ G-SOUL PE0.6号
◇リーダー リーダー ダイワ D-FRON α フロロカーボン 1.75〜2号



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