池谷 成就

ルアーでのキャスティング、レイクトローリングを中心としたビッグトラウト狙いのエキスパート。 「かわせみ倶楽部」主宰。


《 キタカルイザワのニッコウイワナ 》


 北軽井沢を拠点に吾妻川(あがつまがわ)水系を釣っているとときに大物イワナにでくわすことがある。吾妻川は八ッ場ダム(やんばダム)の建設の是非で一躍有名になった利根川の支流で、上流部の万座温泉や草津温泉などから強酸性水を多く集めるため、利根川からのサケ・マスの遡上は無い。大型ヤマメは釣れにくい土地柄ともいえるが、必然的にランドロック性の強いイワナが釣れるのが特色だ。

 昨年も45cmのニッコウイワナが釣れた。過去にも所属する釣り倶楽部の大会において50cm弱を釣り上げ完全優勝かと思いきや、その時の検量対象になったニッコウイワナは、40cm台数尾と簡単には優勝させてもらえない。また尺イワナでも入賞さえできない時も有る。成魚放流モノは検量しない倶楽部のルールなのでどれも完璧な魚体に記憶も新しいが、その吾妻川の支流群もここ数年は大型の放流モノは釣れても綺麗な魚体ネイティブとなるとなかなか難しい状況になってしまっている。

 山奥で熊気配がプンプンするところでは、あきらかに成魚放流モノでさらに大型を釣ってしまった時ほど虚しいことはない。ネイティブで綺麗な魚体に逢いたいのにと思ってしまう。プライベートフィッシングではならなおさらだ。大きくて高価な魚よりも発眼卵や稚魚での放流をと考えてしまうが、卵が先か親が先かという議論になってしまうのだが…。


今回も細流に、今年4月に新発売となった渓流ベイトのパックロッドを試すべく巻き系を意識した5フィートの、MT-TEC50ULMを持参。どちらかというと長めのロッドが好きなので、5フィートいう長さに慣れるのに数投キャスト練習すると、短いほどキャストアキュラシー(正確さ)はあがることを思い出す。



 練習がてらアップストリームキャストでルアーを送り込んでは流れよりやや早い速度でリトリーブするが、5月の上旬とはいえ標高1,000mを越え、時折雪代が入る北関東北西部の渓流ではイワナが追ってはくるもののヒットには至らない。深めの渕をダウンストリームキャストでリフト&フォールで25cmほどのヤマメが釣れた。

 やはり逆引き気味かと大きめの渕の石裏にダウンクロスストリームキャスト。黒っぽい影がルアーを追いかけ一気にひったくった。若干足場の高いところからのキャストだったが、イワナ独特のずっしりとした重さをパックロッドとは思えないほどにダイレクトに敏感に伝えてきた。今年初めての尺を越えた尺上(しゃくがみ)の33cmニッコウイワナだった。足場が高かったのでイワナが追ってきた時に瞬時に上下の動きを加えた瞬間だった。
 さしずめ、@ダウンクロス石裏キャストAやや早めのリトリーブBリーリングストップ&超ショートレンジバーチカルジギングCヒット。となった。

 まあ絵に書いたように上手くいくのはそうそうないが、この日はバラシは皆無、そんな日は調子がいいし、渓流でこれだけのワザを瞬時に掛けられるのも、軽い縦系ジギングを入れられるのも、テレストピック(振り出し)のロッドなのに、マイクロガイドでシャキッと仕上がったこのロッドのなせるワザなのかもしれない


 ゴールデンウィーク後にもかかわらず絶好調のこの日は2本のまあまあイワナに数ミリ足りない無尺(なきじゃく)・泣尺(なきじゃく)イワナも記憶の中に追加できた。

 そして今回の温泉は隣県の佐久市に新しくオープンした、平尾温泉「みはらしの湯」へ直行だ。




● データ

群馬県吾妻漁業協同組合 日釣券1,000円。
温泉:平尾温泉「みはらしの湯」


● 使用タックル

ロッド MT-TEC50ULM
リール アルファス 103L改(Avail)
ライン ファメル フロロブラスト4lb
ルアー ジェイドMD-SD-コンタクトバック&フォース
ルアーケース スミスリバーシブルF86



[ 戻る ]