冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2017 飛騨川釣行記(その2) 》


■ 増水後の飛騨川

 九州地方に甚大な被害をもたらした台風3号だが、南飛騨地域への影響は比較的少なかったように思われた。水位は一時的に上がったが、数日で収束したようだ。鮎や鱒釣り師にとっては、待望の増水でリセットされた川に立てる週末が待ち遠しかったに違いない。私もその一人で、日に日に低下していく水位計を気にしながら週末を迎えることになった。


■ 本流

 今回の釣行は午前中のみ。そこで鮎師が攻める前の早朝を中心に瀬の釣りをすることにした。まずは水量、流速、水深ともに充分なエリアに入った。両岸に山を背負った険しく落差のある地形に、右岸からの支流によりより流れが強くなったエリア。
 ロッドは本流域をメインで攻めるためインターボロンIBXX-72MTにPE0.8号。前回よりもよりパワ−のあるものを選んだ。まずは流れの落ち込みや流芯脇の還流帯に着いている魚を狙ってチェリーブラッドMD82アユカラーを送り込んでいく。期待をもって臨んだのだポイントからは、残念ながら反応は無かった。初めて竿を出すポイント故に攻め処を熟知しているわけではない。すべてが手探りで、川の情報をインプットしながらの釣り。地味な作業で結果の出ないことも多いが、いい思いをすることもある。


 激しい流ればかりではなかった。水深のあるゆったりとした淵も適度に連なり、大型が潜んで居そうな深場にはDコンタクト63やドロップダイヤ、バックアンドフォースで直接底を取り、ダイレクトにコンタクトしていく。
 しかしこの日最初の反応があったのは少し流れが絞れ、水面に白泡が立つほどの激しい流れ。小さな落ち込みに地形変化が加わった、いかにも活性のある魚が着きそうなポイント。上流にチェリーブラッドMD82 アユをキャストし、流れに同調させて送り込む。落ち込み落ちを下りきったルアーが、ターンを終えて頭を上流に向けた時、手前の地形変化のカケアガリ附近で当たりがあった。しっかりと腹のフックを咥えた美形アマゴ。フックは今回も純正のST-36BCの#6。流れのある場所でしっかりと喰って来れば、少し太く感じられたST-36Bも何の問題も無かった。





■ 鮎師の瀬

 次に選んだポイントは、少し上流の少し開けたポイント。川の表情も穏やかで、広い河原ながら右岸側が少し掘れ、大小さまざまな岩で構成された瀬。少し流れが絞り込まれたこの瀬は周囲に比べ流れが強く、対岸の大岩の附近に流芯があった。鮎を狙って大型の遡上魚が身を隠すことができる障害物は無数にある。先週鮎師の姿はまばらだったが、増水後の今日は、流れのいい場所には釣り人の姿があった。鮎のいいポイントなのだろうと車を止めてその様子を眺めていると、偶然にも鮎師が入っていない場所があることに気が付いた。そこで急遽水中に大岩が沈むこの流れに竿を出すことにした。
 まずは50m程上流で友釣りをしていた鮎師に一礼し、手前の流れの筋を攻めていく。ここでもルアーはチェリーブラッドMD82 アユ。アップクロスにルアーをキャストし、流れを刻んでいく。手前の小さな地形変化、中央の流芯脇や対岸の大岩、沈み岩を丁寧にトレースしていく。大岩回りで反応がなかったために少しずつ釣り下がる。

 時刻は8時を過ぎ、日差しはますます強くなってきた。激しい流れがぼやけ、水面の表情も少し穏やかな表情を見せ始めていた。この少し落ち着いた流れをドリフトさせながら流していたときだった。水深1mも潜っていなかったであろうMD82アユカラーに強いあたりがあった。「ガツン!ジー!」何の前触れもなくいきなりルアーをひったくると、激しいドラグ音とともにラインが下流に走った。激しく叩かれるロッドティップに、水中での魚のローリングの激しさが伝わってくる。流れも強く魚をなかなか寄せられない。ジャンプをさせないようにロッドティップを下げ、過度のプレッシャーを与えないように流れを切って手前の緩い流れに誘導しランディングに持ち込んだ。激しく水中で暴れたため、体にはショックリーダーを巻いようだが、本流の魚らしい体高のあるアマゴ。メジャーを持ち合わせいなかったが、32〜33cmはあったと思う。腹のフックをシッカリ加え、ショックリーダーは無残にもルアーのフックに絡んでいた。切れなくて良かった。
 本流育ちらしく尾鰭も大きく、色が入り始めたボディーに朱点のオレンジが特に鮮やかな美しい魚。日差しが強く水温も低くないため、素早く撮影を済ませリリースした。
 強い流れの中で激しくルアーにアタックしてきたため、針掛かりも充分で外れる気はしなかった。反対にこの状況であれほどのファイトをされると、細軸によるアプローチではフックが持たなかっただろう。流れのある本流におけるこのセッティングに対する不安は、少しずつ無くなりつつあった。








■ 流れを求めて

 撮影を終えると9時を過ぎていた。今日出会った魚は全て流れの中で喰ってきた。それも82mmと実際の鮎のサイズに比べれば小さいものの、アマゴを狙うにしては決して小さなルアーではない。しかし流れの中で喰ってくるやる気のある魚達は、このサイズを迷うことなく喰ってくる。そこで日が高くなり、日陰や淵を攻めたくなる気持ちを抑え、そのまま強い日差しの中でさらに強い流れを求め、周囲の瀬を歩き回った。
 すると背後に山を背負った流れのあるポイントが目に入った。当然鮎師が見逃すはずはなかったが、密度が薄かったことから釣りになるだろう。そう思いながら釣り場に入った。広い河原が続き、左岸側が少し深くなったトロ瀬といったイメージの流れ。水面の表情は穏やかで明確な流れの芯がある訳でもなかったが、大きな石や岩盤の前後や流れの合流附近の深みには良型のアマゴが着いているかもしれない。丁寧に流れの芯を外さないようにバブルラインを意識し、ルアーを送り込んでいく。水深は深いところでも1.5m程だろうか。ここではルアーサイズを落とし、MD75のアユカラーを流れに同調しながらロッドを立て気味にして、ロッドティップのみで小刻みなアクションを加えながら誘っていくと、岩の下流の合流でアマゴが喰ってきた。最初に激しく抵抗したのちにその後引きが変わった。テールフックが体側に掛かり、自由に走りまわりランディングは少し苦労した。水中での激しいローリングで、ベリーからテールに掛かり処が変わってしまったのだろう。この魚も本流育ちの体高さのある魚体。尺には届かなかったもののコンディションのいいアマゴであった。魚を弱らせないよう中州の岩盤で素早く撮影しようと考えたが、浅瀬でまたも大暴れをされて画像に残すこともできず逃げられてしまった。


■ これから

 今回魚の反応がそれなりにあったのは、久しぶりの増水により川がリセットされたからであろう。本格的な夏の訪れとともに、これからは鮎師とともに本流域の瀬を攻めることになる。今後の水位の低下も気になるが、ポイントの把握を進め、その時々の最適なポイントを見極め、大型の夏アマゴを狙ってみたいと思う。このエリアには一発大物の夢がある。これからもタイミングを計りながら、シーズン終了までじっくり腰を据え攻めることにしたい。


● マイタックル

◇ロッド スミス インターボロン IBXX-72MT
◇リール シマノ ステラ C3000
◇ルアー スミス  チェリーブラッドMD82S MD82 MD75 MD70 DEEP70
パニッシュ70 70SP DDパニッシュ65 65SP
バルサハンドメイドミノー 50〜70mm F・SP・S
D−コンセプト48MD  D−コンタクト50・63 D−コンパクト48
D−インサイト44・53  D-ダイレクト55
バック&フォース 7g  バック&フォース ダイヤ 4・5g
ドロップダイヤ 5.5g  ピュア5g日本アワビ
◇ライン  ヨツアミ PE G-soul WX8 0.6 0.8号
◇リーダー フロロカーボン 1.5〜2号
◇アクセサリー スミス  シュアーフックスーパートラウト1G  SPスナップ#00 #0 クロスロックスナップ♯1



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