池谷 成就

ルアーでのキャスティング、レイクトローリングを中心としたビッグトラウト狙いのエキスパート。 「かわせみ倶楽部」主宰。


《 盛夏イワナ 》


 梅雨とともにやってきた北関東の猛暑。少しでも涼しい標高の高い場所への避難も言い方を変えれば避暑となるけれど、だらだらした休日もいやなので涼しい早朝を狙って最近新たに趣味に加わったバッテリー式草刈機での草刈り。電動リールを使ったワカサギ釣りは苦手だが、電動草刈機にはハマッた。先人は言った、「僕のうしろに道はできる。」と、さながら僕の前は雑草だらけ、僕の後に道が出来るなんていったら大げさだけど、草刈りにはそんな僅かな楽しみとロマンがある。

 バッテリー2本分約1時間半の草刈りも終わり、さて何をするにもとにかく暑い日中。早朝から数えれば、温かいから暑い、そして熱いへと三段階に変化する昨今の体感気温。遅い昼食をとってちょっと涼しい森の中のカフェでアイスコーヒーとシュークリームをつまんでしまった。動かなくては。自責の念にとらわれながら車を運転していると、釣り移動中の友人にばったり出会う。状況を聞くと連休最終日でどこも場荒れしていて小さいイワナ2尾とのこと。もう一ヶ所狙って帰るというので、急いで年券とタックルを積み込み、高原野菜を仕入れ後を追う。


 無数の釣り人の足跡、ひっきりなしに釣り人が様子見に来るいわゆる渓流銀座。しばらくは他の釣り人が何処をどのように釣るかをまずは観察。成熟しかけている渓流ルアーフィッシングにおいてはこのような状況下では皆が竿抜けポイントを狙っている。ポンポンと釣れればポンポンと移動できるが、とてもシビアな状況では竿抜けポイントを狙い若干粘る。こんな状況下では意外にも冷静な観察が最も判り易くてっとり早い。


釣り人が去った後狙わなかったピンポイントを狙う。多少立ち込まれようが、粘られようが、狙わなかったピンポイントで一瞬の勝負に賭けてみる。本来マズメ時は餌を獲りたくて、やっこさん達うずうずしているはずだ。

 そこへダウンストリーム気味にピチャンとルアーを落とし込む。夕立後の早い流れにルアーは流され必然的に逆引き体制となる。ダウンストリームでルアーが飛び出さない程度のジャークワンアクションを入れてみる。気温が高く表層の流れが冷たく感じない時はシンキングやサスペンド系のルアーが特に効く。リップ付きではさらに下へと向かうのでややロッドを上げ気味に無用な根掛かりで場荒れを避け、ワンアクション入れてやる。やはりきた!


 狙い通りの1尾は特に嬉しい。久々の釣り、夏の瀬の釣り、一瞬のヒットと強烈なファイトに、ついつい両手でロッドを支えてしまうほどのファイトは、この時期の楽しみのひとつでもある。

 この日は夕方になっても涼しいとは思えない暑さの中の1時間弱だったが、泣き尺と良型のイワナに遊んでもらえたのは、状況を考えればラッキーだったのかも知れない。



● データ

群馬県吾妻漁協


● 使用タックル

ロッド インターボロンX TRBX-C57
リール アルファスRエディション(AVAIL SP)
ライン 山豊テグス フロロブラスト4lb
ルアー ジェイドMDD-コンタクト50
その他 スミス エマージェンシーホイッスル。カウンターアソールト。



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