奥代 直行

北海道 道東在住

子供の頃、開高健の小説を読み、ルアーフィッシングをはじめる。
北海道のトラウト、サーモンがメインターゲット、自然と釣りをこよなく愛す、彫金師。
モットーは『自然と魚に遊んでもらう』。



《 2018年 4月 北海道 島牧村 海サクラマス釣行 》


サクラマス。「川の宝石」と称される美しさ、強烈なファイト、絶対的な数の少なさからくる、高い難易度。
多くのアングラーを虜にし、つかんだ心を離さない。

私の住む、ここ北海道でもサクラマスは、超がつく人気ターゲットだ。
シーズンをむかえるとサクラマス狙いのアングラーたちで有名ポイントは賑わう。
しかし本州のサクラマス釣りとは違い、道内では河川でのサクラマス釣りは禁じられている、狙えるのは遡上前の海にいる個体のみ。つまり北海道的には「海の宝石」といったところか。


4月上旬、道南、島牧から耳を疑うような情報が頻繁に聞こえてきた。
時期的に釣れているのは当たり前なのだが、今年はどうも様子がおかしい。サイズが異常に大きいのだ。例年であれば3キロ超すサクラが釣れれば、鼻高々で釣り仲間に自慢できるのだが、今シーズンの道南ではそれを大きく上回る4〜5キロのサクラマスが相当数釣れているというのだ。
こんな当たり年はもう来ないかもしれない、5キロのサクラマスってどんな引きなんだ!?

 「いつ行くの!? いまで…」
聞き飽きたフレーズが頭をよぎったので、店のシャッターを閉め、いざ聖地島牧へ。


初日、15時に現地到着し友人と合流、実績のあるポイントにガイドしてもらう。
まずチョイスしたルアーは、メタルフォーカス28g。巻いて良し、沈めて良しのロングセラージグだ。
しばらく広範囲を探るキャストを続けたが反応がなかった為、サージャーにチェンジ。
よりベイトライクなシルエットでバイトを誘う。

あれこれ妄想しながらキャストを繰り返していると、友人にヒット!
体高のある立派な3キロ弱の個体。
これでも普通だというのだから、今年のサクラマスのサイズのインフレ化は恐ろしい。

初日はチェイスのみに終わり、翌日に期待を持ち越した。


二日目、早朝からポイントに入り、一心不乱にキャストを繰り返したが、陽が高く昇っても私のロッドが弧を描くことはなかった。
さすがに疲れも出てき始め、休憩していると、釣り仲間から連絡が。

「今日は魚寄ってないみたい。」

ここにきてこの一言は、レバーブローのように私の身体を重くしたが、ポイントを移動するきっかけにもなった。

時間的にもラストのポイントして選んだのは、千走川河口。
島牧の一級ポイントとして有名だが、ここ数日は磯場の人気が高く、昼過ぎという時間帯も相まって他の釣り人の姿はなかった。釣り人の姿がないというのは、釣れていないということでもあるのだが…。

河口の真ん前、波打ち際に大きな岩が沈んでいるポイントを偏光レンズ越しに凝視していると、時折なにかが水中でキラリと陽光をはね返す。
すかさずチェリーブラッドSR90SSをセットしキャストする。ピンポイントで落としたルアーが水を噛んだ瞬間、ガンっと手に衝撃が走り、ロッドが絞り込まれる、暴れる魚体を見て確信する。
「サクラだ、デカい!!」

勢いよく逆回転するスプール、これから!というタイミングで、ふっと軽くなるロッド。

わずか数秒で終わってしまった良型サクラマスとのファイト。絶叫したい衝動にかられたが、そこは無理矢理に自分を抑えた。


気持ちを切り替え、私が全幅の信頼を寄せるDコンタクトシリーズの長兄、Dコンタクト85をセットする。
先程と同じ、沈み岩の周りを別の角度から攻める、岩の横をルアーが通過するタイミングでトゥイッチをいれ、ヒラを打たせるとヒット!

先程の魚より明らかに小さい手ごたえだが、雑にならないよう落ち着いてやり取りをする。岩にラインを擦られないように早めに引き離し、波のタイミングを見計らい無事ランディング。
何度か、ヒヤッとする暴れ方をされたが、Dコン85に採用されているクレーンスイベルがバラシ軽減にいい仕事をしてくれたようだ。


お世辞にも自慢できるようなサイズではなかったが、苦労してキャッチした海サクラのきらきらと輝く銀鱗は、とても眩しく、美しかった。


自己記録更新は次回の楽しみにとっておこう。

一筋縄ではいかない海サクラと、島牧の大自然に感謝し、帰路に就いた。


釣り場

北海道島牧郡島牧村

海岸線が長く続く、人口1500人程の海沿いの地域。
サーフ、ゴロタ場、磯、港。全域がポイントといっても過言ではない。

海アメマス釣りのメッカ。海アメ、海サクラの聖地として、道内外から多くのアングラーが訪れる。
天然温泉、民宿も多数あり。地元の美味しい食材も食べられ、ゆっくりできる。
道の駅「よってけ島牧」には釣り具コーナーもあり消耗品などを補充できるので遠征でも安心だ。
千走川などの主要河川は5月1日〜8月31日まで河口規制がかかるため注意が必要。



タックルデータ

ロッド IBXX‐93プロト
リール S社 4000番
ライン PE1.2号 リーダーフロロ25lb
ヒットルアー メタルフォーカス28g
サージャー
チェリーブラッドSR90SS
Dコンタクト85



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