【遡上の遅れ】
サクラマスは遡上魚である。そのため群れの位置を知ることは魚との距離を縮める最も重要な要素である。遡上は水位の影響を受けるため、大きな増水の少ない今期は全体的に遡上が遅れている。サクラマスのスイッチが入らないのだ。
解禁後も遡上を促すような大きな増水がないままシーズン前半が終わろうとしていた。全く遡上が無かったわけではないのだが、漁区全域にストックされる程ではなかった。下流域まで遡上した小規模な群れが、僅かな水位変化で中流域までたどりついても、ある程度の数がここで抜かれていく。釣られなくともプレッシャーを受けた個体は、当然反応も悪くなるだろうから、上流部はいつまで経ってもやる気のある魚のストック量が上がってこない。
先日も上流域を主な釣り場とするフライショップの店主と話をする機会があった。3月中旬でフライによる釣果報告は2件止まり。上流部の多くの釣り人は未だにサクラマスの姿を見ていないだろう語っていた。
このままでは水田への導水が始まる4月下旬からのシーズン終盤、渇水により流れが無くなると、ますます遡上が難しくなるだろう。また僅かに残った流れを求めて多くの釣り人が集中し、本来のサクラマスの釣りが成立しない可能性すらあるのだ。
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