吉川 康之

栃木県在住の平凡なサラリーマン

湖およびエリアでのトラウトフィッシングをこよなく愛する。



《 蝉ブラを求めて初夏の中禅寺湖へ 2019
2019年6月下旬 栃木県日光市 中禅寺湖 》



 2019年シーズン、私にとっての蝉初めはかなり遅めといえる6月半ばを過ぎた頃となってしまいました。その年の季節の進行の具合により多少前後はするものの、例年5月の下旬頃から始まる蝉の釣りの走りに合わせて出撃するというのが私のいつものパターンとなっているのですが、今年は他所のフィールドへの釣行と時期が重なったがために行くことが出来ず、完全にいい時期を逃してしまったといった具合なのでした。事前の情報では今年の蝉ブラはあまりパッとしないとの事だったので、釣行前は不安で仕方ありませんでした。


 今回私が訪れた6月下旬というと、中禅寺湖での蝉ブラの釣りは終盤戦真っ只中の状況にあると言っていいでしょう。連日、多くの蝉使いのアングラーに叩かれ続けた結果、魚たちはかなりナーバスな状態となっており、蝉を模したルアーやフライのシルエットを見るや否や、すぐさまこれを偽物だと見破りなかなか相手にしてもらえないなんて状況が当たり前のようになっている時期です。つい先日に今シーズン初となる蝉ブラを楽しみにこの湖を訪れていたのですが、この時の状況がまさにそれで、朝の8時過ぎからからほぼ休みなしで山側の目ぼしいポイントを探り続けたのですが、ことごとく見切られてしまい、ようやく本命のブラウンを手にすることが出来た時には辺りはすっかり夕陽に包まれてしまっていました。
 そして今回、さらに日にちが進んでより厳しい状況となっていることが予想されましたが、この時期限定の蝉ブラとの熱い駆け引きを楽しみたいという一心で再びいろは坂を登って行ったのでした。


今シーズンの初蝉で釣れた中禅寺湖のレインボートラウト
(ニューアイテム、大美蝉とイル・フロッソにて)

こちらも同じ日に釣れた中禅寺湖のブラウントラウト。
日没直前まで粘ってやっと手にする事の出来た一匹でした


 この日私が入った場所は国道側のあるポイントでした。そこは国道側ならではといった傾斜の緩い遠浅の地形が広がる場所で、水際から20メートルほど沖合に水色が変化するブレイクラインが存在するような場所でした。時期的なもの?或いはパッとしないお天気のせいなのかどうかは分かりませんが、溺れて水面を漂っているような蝉の姿はどこにもありません。さらに背後に広がる森からも春蝉の鳴き声はいっさい聞こえず、今日も簡単には釣らせてくれない感が満載でした。
 ですがそんな気持ちの一方で、私の心のどこかに今日はイケるんじゃないか!という相反する気持ちがほんの少しだけですがありました。というのも、この日は周囲に見える釣り人の数が明らかに少なかったからなのです。
 魚との距離が極端に縮まるこの時期の蝉ブラの釣りにとって、釣り人によるプレッシャーほど魚を沖へと遠ざけてしまう大きな要因は他には無いと思っています。釣り人の数が少なければ少ないほど、ブラウンたちはこの時期に本来居たいと思っているフィーディングエリアである浅瀬に寄って来ているに違いありません。これぞチャンスと言わんばかりにそろりそろりと静かに水際へと近づいて行きました。


この日は国道側を探って行きました

日中の表層水温は16℃前後で推移していました

 この時私が使用したルアーはエゾハルゼミをモチーフにしたトップウォータープラグである美蝉(ビセン)と大美蝉(ダイビセン)のふたつでした。後者の大美蝉は今シーズン発売されたばかりのニューアイテムで、その名が示すとおりに従来品である美蝉をひと回り大きく(長さで5mmUP、重さで1.4gUP)させたモデルになります。
 時期によっては大変シビアでマッチングザベイトの極みともいえる蝉ブラの釣り。とても小さく儚いイメージのある春蝉に対して、それを模したルアーをサイズアップさせるなんて(それっていったいどうなの!?)
 これが初めて大美蝉の話を聞いた時の私の正直な感想でした。ですが出来上がった商品をそれと知らずに見せてもらったところ、恥ずかしながらサイズアップしていることに直ぐには気付きませんでした。従来品である美蝉と並べてやっとその大きさの違いに気付いたといった感じで、肝心の魚目線から見てもおそらく従来品との違いはそれほど大きくないのではないでしょうか。
 そしてもうひとつの違いであるウエイトアップに関しては、手に取れば直ぐにその違いが分かるようなものでした。エリアフィッシングの経験のある方なら直ぐに分かると思うのですが、元々軽量なルアーを扱う釣りにとっての+1.4gアップ(2.6g→4.0g)は大変に大きなもので、キャストの安定性と相まって飛距離を大幅に伸ばしてくれることが期待出来ます。実際にフィールドで試してみたところ結果はやはりその通りとなり、キャストの際にフェザーリングをしっかりやらないと狙ったポイントを大きく飛び越えてしまう程でした。沖合にあるブレイクラインなど、今まで届かずに諦めてしまっていたポイントを探れるようになるのは勿論のことですが、いつものポイントに対してより後ろに下がった立ち位置から魚に警戒心を与えないよう探ることが出来るようにもなります。これらはどちらも蝉の釣りに於いては非常に大きなアドバンテージとなり、攻略の幅をきっと広げてくれるに違いありません。


美蝉(左)と大美蝉(右)


水面に浮かぶ大美蝉(ダイビセン)
※ 頭部分のスプリットリングは後付けしたものです


 当日はまず最初に従来モデルである美蝉(ビセン)を使って、ブレイクラインの手前に広がる浅瀬(50〜100cm程度)を広く探って行きました。もちろん魚を遠ざけてしまわないように入水はせずに、水際から一歩下がった立ち位置から狙うかたちです。目の前を左から右へと流れる湖流に対してアップクロスにルアーをキャストした後は、本物の蝉が流れるようにドラッグに注意しながら動きを見守りました。時計の針の10時から14時までをひと流しとした場合に、これを2或いは3等分したくらいのタイミングでブルッ!とロッドティップを震わせ波紋を作りルアーの存在をアピールしました(波紋を作らずにただ流すだけの方が効果的なこともあります)。これを手前、中間、沖側とそれぞれ2〜3回繰り返し、それで反応がなかったら横に20メートルほど移動してランガンを続けました。
 そしてこの作業を始めてから2時間近くが経過した頃でしょうか、目の前の水面が何の前触れも無しにボコッ!と鈍い音を立てました。あがってきた魚は本命のブラウントラウトでした。体色が濃くとても野性味あふれる個体だったのでおそらく相手は居着きのブラウンだと思います。これまでに小さなレインボーが一度出たきりで、その他は一切反応が無くかなり弱気になっていたところだったので本当に嬉しい一匹でした。(諦めなければきっとまだ出るぞ!)


美蝉に出たブラウントラウト
51cm(No.02 ハルゼミ・メスにて)

とても野性味溢れる個体でした



 そして湖岸線を3km近くに渡りこの作業を繰り返した後は、今度は折り返して沖にあるブレイクライン上を探って行くことにしました。従来品である美蝉(ビセン)では飛距離が足りずこれを探るのは難しいでしょうが、ニューアイテムである大美蝉(ダイビセン)なら十分に届く距離です。しかも今回は軽量ルアーの遠投性にも優れたロッド トラウティンスピン イル・フロッソ(TILF−72)を使用しているため、高い飛距離を毎回安定して出すことが出来ました。そしてこちらも先ほどのブレイク手前を探っていた時と同じように、湖流に合わせて極力ナチュラルドリフトとなるよう注意しながら探りました。そして朝のスタート地点に向けてランガンすることおよそ2時間、突如 ボコッ!という大きな音と共に目の前に水柱が上がりました。その後のやり取りはとても強烈なものでした。相手をやっとの思いで引き寄せたかと思うと、急に反転し沖へと向かって猛ダッシュ!!半端なタックルだったらきっとこの時にラインを切られていたと思います。ロッド イル・フロッソが急な負荷の変化に対してしっかり追従、きちんと仕事をこなしてくれたお陰で無事に取り込みに成功しました。相手は61cmのブラウントラウトでした。砲弾のような体形とあの走り、さらに体色の薄さなどからして相手はもしかすると回遊系の個体なのかも知れません。大美蝉とイル・フロッソ、このふたつがあったからこそ獲れたとても嬉しい一匹でした。


大美蝉に出たブラウントラウト
61cm(No.29 ゴーストハルゼミGLにて)

大美蝉とイル・フロッソだからこそ
獲れた嬉しい一匹でした


体色が薄めの回遊系の個体か?

各ヒレがとても立派でとにかくよく引く個体でした


湖畔のブナの木が沢山の実を付けていました

このあと雷の急接近で早めに帰路へとつきました


【中禅寺湖のブラウントラウト@(You Tube動画)】



【中禅寺湖のブラウントラウトA(You Tube動画)】



● 使用タックル

ロッド TILF−72 トラウティンスピン イル・フロッソ (SMITH)
リール 13 CERTATE 2500 (DAIWA)
ライン VARIVAS High Grade PE X4 1.0号 13.1lb (MORRIS)
リーダー TROUT SHOCK LEADER フロロカーボン 10lb (MORRIS)
ルアー 大美蝉(ダイビセン)(SMITH) ※ フック変更実施。ラインはアイのスプリットリング(後付け)に直結
美蝉(ビセン)(SMITH) ※ フック変更実施。ラインはアイのスプリットリングに直結して使用
フック Wトラウトタテアイ4B  ベリー&テイル共に  (SMITH) ※ バーブは潰しました
ネット チェリーネット Lサイズ 旧タイプ サクラ (SMITH)



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