■秋の霞ヶ浦

ロッドのテストのために、谷中洋一と霞ヶ浦に出た。
この日は、台風一過ということもあり、
それまで40cmほどの減水だった霞ヶ浦の水位は、
一気に平水位を超えてしまっていた。
満水状態の土浦新港からボートを降ろし、
まずは舟子ニイさん沖の浚渫跡を、ディプシードゥー#3で狙った。

投げて捲く、捲いて投げる・・・これをただ単に繰り返す。
何度も何度も繰り返す。すると、ググッとか、クックックッとか、
グングンとか、ガッツンとか、クーーッとか、クックーンとか、
ビビビビビッとか、ギュギュギュィーンとかの様々な命の重みが、
ロッドを通じて手元に伝わってくるのだ。
これらを総称して、『生命体反応』と呼んでいる。
が、本日この浚渫跡では、一度もなかった。無反応だった。

次も同じような岩盤帯なのであるが、
ここは先に行った砂利採掘のための浚渫跡ではなく、
漁師の船の通る舟道のために掘られた浚渫である。
同じ浚渫跡でもどう違うのかというと、
砂利浚渫の場合は、最深部は6メートル以上にも達するが、
舟道の場合は深くても3メートルほどなのである。
この3メートルというのは、
霞ヶ浦の魚が快適に生活できる深さなのである。

この岩盤から右のシャローか、左のシャローか迷ったが、
迷った挙げ句、右のシャローを狙った。
浚渫跡のようなディープに続くシャローが鳴かず飛ばずなのだから、
「こりゃー、ショアラインのシャローでしょ!」
ということになったのである。
オレは相変わらずディプシードゥー、谷中はウィードマスター。
二人でシャローのストラクチャーをじっくり攻めた。

しっかし、無反応状態が続く。
半ば諦めかけたその時、「きました!」と谷中の静かなる言葉。
振り返ると、ロッドが大きく弧を描いていた。
デカそうである。魚の走りに必死に耐える谷中。
水面近くで反転したその渦は、まるでキャットフィッシュのようだった。
「濁っているからナマズが浮いているんだ」。
オレはとっさにそう思ったが、次の反転で紛れもないバスの模様が見えた。
「で、で、でかい!」久し振りに見るビッグバスである。
50cmは越えていると思われた。

スピナーベイトをくわえた口をガッチリとつかみ、
無事にランディングすることが出来たバスは、
体長49cm、体重1830gのナイスフィッシュであった。
やはりシャローにはバスがいた。
シャローのストラクチャーにはバスのいることが判った。
あとは数を釣ることである。
しかし、その後シャローは爆発しない
で、ディープのあるシャローはというと、相変わらず死に水のようだ。
ここらで思い切って作戦を変えた。
今まで水がなかったと思われる場所に入ったのである。
そう、超シャローだ。

クランクベイトが引けないので、スピナーベイトの出番に変わった。
それとテキサスリグワームだ。
水深70cmほどの超シャローで、でも他よりも少し水深があるところで、
さらにしっかりカバーもある場所を探っていくと・・・
谷中のテキサスリグワームにバスがヒットした。
1kg弱のナイスキーパーである。
やはり超シャローにいるバスは、色が違う。
日焼けしているのではなかろうか? と思えるほど色鮮やかである。

シャローのカバーやストラクチャーにはバスがいること、
そして水の悪い時期でもムービング系のルアーに反応してくれる、
動きの良いバスがいることを再確認した。
となれば、あそこのシャローの岩盤は?
ということで、一気に下流へと下った。
案の定、ポロッとではあるが、オレのディプシードゥー#2に、
期待以上のナイスフィッシュがヒットした。
そこは水深1メートルに満たない浅場で、
普段はボートも寄せ付けないほどのコンクリート片のガレ場である。

その後、ディプシードゥー#1で、西浦の超シャローを探ったが、
濁りが強すぎて無反応だった。
本日の総評は、
水が他と比べて比較的良い場所の、
水深1メートル未満のハードマテリアルストラクチャーや、
カバーのある場所には、アクティブなバスがいる。
これらのバスは、クランクベイトやスピナーベイトなどの
ファストムービング系ルアーに反応してくれるので、
手返し良く探るのが水質悪化時の有効な対策である。
秋の水況変化のシーズン、ファストムービング系のルアーをお忘れなく。


谷中の最初の獲物は、49cm・1830gのナイスフィッシュ!


大きな口に大きな目玉。このサイズになるとさすがに厳つい。
谷中のウィードマスターには、トレーラーフックが装備されていた。



ハスの中から引き出したナイスキーパー。
こんなにも浅く、こんなにもジャングル・・・という場所で、ヒットした。



最後の締めに相応しいナイスフィッシュだ。
1620gは、ディプシードゥーの#2イエローバスに襲いかかってくれた。ありがとう!