■チンロン(青龍)のテスト・最終章

チンロン(青龍)のテストのために、
土浦の新川に行くはずだったのだが、
愛車ランクル60が調子悪くて、そのまま土浦のS.K.ガレージへ。
どうやらダイナモが逝っちゃったらしいのだが・・・。
しかし、ルアーのテストは待ってくれない。
そこで、スミスの谷中洋一に迎えを頼み、
彼の車に同乗して土浦新川に向かった。

川沿いに車を停め、すぐ前の自販機で缶コーヒーを買う。
『これ、当たり前のこと!』
何故かというと、缶コーヒーを売っているお宅の前に
車を停めさせてもらうからである。
今日はオジさんが居なかったから長話にならなかったが、
普段だと世間話で20〜30分を潰す羽目になる。
が、これもコミュニケーションの一つ。
地元の人との意志の疎通が、何かにつけて大事なのであるよ。

谷中と二人分の缶コーヒーを買ったのだが、
間違えて自分用には冷たいのを買ってしまった。
「ヒィエ〜ッ!」今日は特に寒いというのに!!
手に持っているだけでも辛いから、
そそくさとポケットに押し込んだ。
お陰でポケットの中も冷えた。

ロッドを片手にルアーの試験場である排水口に向かうと、
春休みだか、試験休みだろうか、中坊の大群が釣りをしている。
ここで見かけるボラの大群のように、排水口に陣取っている。
地元かな? 停めてある自転車の泥よけを見ると、
「沖宿・・・」と書かれてあった。
ハッハァーン、地元の中坊だ。
彼らの邪魔をしないように、
少し河口側に入ってキャスティングを開始した。

と、中坊がロッドに絡んだラインを捨てた。
元々彼のラインではなかったが、オレは思わず注意をした。
すると、彼の仲間が「カズキが捨てたんじゃないよな!」。
なんてことを云うもんだから、
「人のでも片付けるのが釣りする者の心得だ!」。と怒鳴った。
中坊は押し黙ったが、さらに追い打ちをかけるように、
「判ったか! 返事は! 声が小さい!!」。と怒鳴ると、
全員が声を揃えて「ハイ」と答えた。
カズキと呼ばれた中坊は、素直にラインを拾ってまとめ、
屑入れ袋に入れた。天晴れ、天晴れ!

一段落して、谷中とルアーのテストをしながらあれこれを話していると、
すぐ先に、ボラ釣りのオッサンが入った。
で、第一投目からボラが釣れた。と言うよりも引っ掛かった。
掛けバリでのギャング釣りをしているのだ。
次々にボラを引っ掛けては岸に放り投げている。
オレはてっきり持ち帰るのかと思い、
「食べるんですか?」。と聞くと首を横に振ったので、
「だったら水に戻してあげなよ」と注意した。
すると、ボラのヒレをペンチで挟み新川に投げ入れていた。
水辺で逃がしてやればいいのに・・・。

オッサン、立て続けに12〜13尾のボラを釣り上げると、
さすがに飽きたらしく、どこかに消え失せた。
それにしても、ああ言う大人がいるから、
生き物を殺しても何とも思わない子供が増えるんだなっ!
新川のコンクリート護岸には、
呆れるほどのボラの死骸が散乱している。
そして、腐乱している。ボラフラン? フランボラ? 
何だか外国人の名前のようだな。
ところで、周りでフナ釣りやルアー釣りをしている人は、
これらの行為に何とも思わないのだろうか?
例え対象魚は違っても、魚があっての魚釣りなんだがなぁー。

夥しいほどのボラの鱗が、北風に吹かれて足下で舞った。
シャラシャラシャラ・・・そこはまるで魚たちの墓場、
葬送行進曲が流れそうな雰囲気だった。
寒々しくおどろおどろしい光景の新川を離れ、
オレたちは土浦旧港へと向かった。
それは、テスト用ルアーで「本日バスを釣ろう!」
そう思ったからである。



チンロン(青龍)のテストはほぼ最終段階なので、
あとは実際に使ってみて、その飛距離、動き、障害物への対応、
ロッドへの感触など、実技実力のテストに入りたかったのだ。
で、結果はほぼ満足行く点数が出た。
何回もやり直し、何度も積み重ね、
待望のチンロン(青龍)の全貌が今ここに明かされる。
開発に費やした期間、長かったねぇー。
精神的にも随分と苦労したが、
出来上がった作品を見ると感無量だね。



これは正に、チンロン(青龍)の実力を示すような写真である。
最終テスト開始からほんの十数分で、最初のバスを誘い出したのだ。
釣りづらいと囁かれる現在の霞ヶ浦の状況下で、
いとも簡単にバスを誘い出したチンロン(青龍)の実力に、
今年の初バスを手にした谷中も、
「なんじゃー、これは!」。と驚いていた。
チンロン(青龍)の驚くべき実力は、
秘密のボディー形状と秘めたる浮力にある。
これは今までになかったクランクベイト、そしてディープランナーだ。
完成間近! 乞う、ご期待!!