■霞ヶ浦の外来魚

このところ、国土交通省霞ヶ浦河川事務所主催の意見交換などに出席して、
ちょっと忙しい。釣りどころではない・・・なんてことはない。
この文章は否定形の否定だから肯定なんだよね。
つまり、『釣りどころ』である。ガッハッハッハッハー!
一生懸命に釣りをしているよ。ただ、何故かフナ釣りが多い。
ここに記したように、会議やらミーティング、会合などが多くて、
日長一日の釣りができないからなのだよ。
午前中二時間、夕方から三時間、昼過ぎに一時間、
なんて具合の釣りばっかりなので、
必然的にフナやタナゴなどの小物釣りが多くなる。

だから、「釣参菩思」の原稿も、
フナ釣り・・・なんてーわけには行かないので、
今回は読者のみんなにちょっと知識を持って貰おうと言うことで、
霞ヶ浦に移植された魚を紹介する。
移植された魚だから、外来種だ!
おいコラッ! そこで頭の中に?マークを浮かべている兄ちゃん、
外国から来た魚だけを外来種というのではないんだぞっ。
同じ日本の魚であっても、他所から移植された魚の全てを、
が・い・ら・い・ぎ・ょ(外来魚)と言うんだから、
しっかり頭の中に入れておきなさいよ。

実は、霞ヶ浦には下に列記した魚以外にも居るのだけれど、
主だった外来魚と言うことで頭に入れておいて欲しい。


霞ヶ浦外来魚

1、アオウオ:1943年に中華人民共和国より移入。
       全長2メートルに達する超大物が棲息している。
       が、30〜50cmの青年層を見かけないのはどうしてだろうか?

2、アカヒレタビラ:霞ヶ浦で最も多く見られるタナゴの仲間である。
       産卵の時期になると、各ヒレの部位が赤くなることから
       この名前がある。

●3、アメリカナマズ:ここ数年で爆発的に増えたのが、アメリカナマズである。
       ルアーはもちろんのこと、ミミズや練り餌、
       冷凍の魚、鶏のレバーなどを使っても釣れる。
       食用として養殖業者が移入し養殖していたらしいが、
       そこから脱走したものが現在では自然繁殖している。

4、オイカワ:霞ヶ浦本湖で釣れるのは非常に希で、
       その多くは流入河川に見られる。
       流入河川で釣れるオイカワは概ね13〜15cmほどで、
       釣り味を十分に楽しめる。 

●5、オオクチバス:日本に移入されたのは1925年。
       この年、箱根の芦ノ湖に移植された。
       芦ノ湖のバスのその後、1930年に長崎県や群馬県、兵庫県、
       宮崎県、京都府など、各地に移植されている。
       最初に見られたのは北浦の梶山周辺で、
       その後霞ヶ浦の高浜入りで初めて採捕されている。
       1998年頃から、販売経路の確立により乱獲されたため、
       その生息数は大幅に減少している。

6、カネヒラ:日本に生息するタナゴの仲間で最大のもの。
       本来は琵琶湖淀川水系以西にしか生息していなかったが、
       他魚の放流に混入し、各地に広まった。

●7、カムルチー:1937年に朝鮮より移入されたが、その経路は不明である。
       水生植物が豊富な頃は優占種となっていたが、
       水質の悪化と水生植物の減少で減少の一途である。
       現在、流入河川に僅かに見られる程度となっている。

8、カワムツ:本湖で釣れることは滅多になく、
       その多くが流入河川域で釣れている。
       これも元々は関東に棲息していなかったもので、
       アユやフナ、コイなどの移入に混入したものである。

●9、ゲンゴロウブナ:1930年に雄103尾と雌54尾を琵琶湖より移入し、
       県営の手野養魚場で蓄養。
       翌年これらの親魚から30万粒を採卵し、これを土浦に放流。
       その後、稚魚放流も合わせて放流は繰り返された。
       新川や境川周辺にヘラブナ釣りが多いのは、その名残であろうか。
       キンブナとギンブナをマブナと呼ぶのに対して、
       このフナはビワコとも呼ばれていた。

10、コクレン:1943年に中華人民共和国より移入。アオウオ、ソウギョ、
       ハクレンとこのコクレンを総称して、中国四大家魚と呼ぶ。
       この年、四種の合計で一万五千尾が放流され、
       いずれも中国の揚子江産である。

●11、コ イ :淡水の王と呼称されるコイであるが、その主だった理由は、
       龍に変身すると言う中国の故事によるものであろう。
       人間と千年以上ものつき合いのあるコイではあるが、
       元々霞ヶ浦に棲息していたものとは別に、
       新たに放流されたのは1868年頃という記録があるらしい。

●12、サンシャインバス:管理釣り場でストライパーが釣れるという情報から、
       霞ヶ浦でこの魚の養殖が行われているという噂を耳にし、
       八方手を尽くしたが養殖業者はまだ見つかっていない。
       初めてサンシャインバスのことを知ったのが2000年で、
       その後、捕獲された情報を聞かないので増えてはいないらしい。

13、スゴモロコ:琵琶湖淀川水系以西に分布してた魚であるが、
       琵琶湖産コアユの放流に混入して移植されたようである。

14、ソウギョ:1943年に中華人民共和国より移入。(コクレンを参照)

15、タイリクバラタナゴ:1943年に中国四大家魚に混じって、
       中華人民共和国より移入。
       1950年には霞ヶ浦で繁殖しているのが見られた。
       中国から来た赤いバラのような体色によって、
       タイリクバラタナゴと呼ばれる。

16、タウナギ:1976年に霞ヶ浦で初めて採捕された。
       ウナギという名前が付くがウナギ科ではなく、
       タウナギ科という別種である。
       田圃の畦に穴を空けるので嫌われ者であるが、
       聞くところによると食用として移入したらしい。
       小物釣りをしていると、空気を吸うため水面に顔を出す。
       オレンジ色の顔がニョロッと飛び出すので大変に驚く。

17、チュウゴクオオタナゴ:2000年頃から新利根川周辺で釣れ始め、
       2002年には麻生でも釣れるようになった。
       真珠貝に入り込んでいたものが、
       孵化して広まったと言う説もあるが。

18、ツチフキ:カマツカによく似ているが、顔が寸詰まりである。
       近畿以西の各地に分布していたが、
       1960年頃から霞ヶ浦で見られるようになった。

●19、ティラピア:1954年当時から、モザンビカ、ニロチカ、ホルノーラムなど、
       数種が日本に移入された。が、10℃以下では成育しないために、
       霞ヶ浦では定着しなかった。霞ヶ浦水産試験場では、
       一時ティラピアを赤くする研究をしていた。
       しかし、土浦の新川沿い下水処理場からの排水口では、
       季節的な水温変化が少ないので、時折その姿を確認できるし、
       釣れることもある。

20、ハクレン:1943年に中華人民共和国より移入。(コクレンを参照)

●21、ハ ス :琵琶湖や淀川のみに棲息していたハスが、
       霞ヶ浦で一番最初に発見されたのが1962年である。
       2000年まではたまに釣れる・・・程度であったが、
       2001年に入ってからは驚くほどに釣れるようになった。
       この増加に何が原因しているかは判らないが、
       水の変化であることだけは確かである。

22、ビワヒガイ:1918年に250尾が桜川河口に放流された。
       続いて、1948年にも202尾が放流された。その後爆発的に増え、
       一時期は琵琶湖に逆販売するほどであったが、
       1960年頃から減少する一方であった。
       2001年頃から増加傾向にあり、
       流入河川周辺では良く釣れるようになっている。

●23、ブルーギル:1960年に日本に移入されたが、霞ヶ浦に入った年は不明。
       淡水真珠の稚貝養殖用に
       琵琶湖から移入されたと言う噂であるが、定かではない。

●24、ペヘレイ:1966年に神奈川県淡水魚増殖試験場がアルゼンチンから移植し、
       津久井湖に放流した。1985年に茨城県内水面水産試験場が移入し、
       試験的に飼育した。その後、霞ヶ浦湖内で自然繁殖しているが、
       どの様な経路で霞ヶ浦に入ったかは定かではない。

25、ホンモロコ:1936年に琵琶湖より75kg(およそ26000尾)が移入され放流された。

26、ワカサギ:それまではワカサギから採卵した卵を日本各地に移出していたが、
       1969年初めて網走湖から移入。この年あたりから水環境が変わり、
       霞ヶ浦の生態系は激変していく。

27、ワタカ :日本固有種で、琵琶湖や淀川に分布が限られていたが、
       コアユの放流に混じり、全国に広がった。
       霞ヶ浦では1960年に初めて採捕された。

参考文献:淡水魚(山と渓谷社)、淡水の魚と生物(学研)、霞ヶ浦の魚たち(筑波
書林)、霞ヶ浦の魚たち(霞ヶ浦情報センター)

●が付いているものは、過去にルアーで釣れた外来魚。