■釣参菩思 枕草子風バスフィッシングのススメ

バスフィッシングは枕草子の第一段的に楽しむと良いですなっ。
きっと心穏やかにバスフィッシングを楽しめますよっ。
では、初めに枕草子を。

春はあけぼの。
やうやうしろくなりゆく山ぎは、少しあかりて、
紫だちたる雲の細くたなびきたる。

 

夏は夜。
月のころはさらなり、やみもなほ。蛍の多く飛びちがひたる、
また、ただ一つ二つなど、
ほのかにうち光て行くも をかし。雨など降るも をかし。

 

秋は夕暮れ。
夕日のさして山の端いと近こうなりたるに、からすの寝所へ行くとて、
三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。
まいて、鴈などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。
日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。

 

冬はつとめて。
雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでも、
いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし、
昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、
火桶の火も白き灰がちになりてわろし。

 

で、軽〜く解説を。

春はあけぼの。
春は日の出前、ようやく空が明るくなる頃が良い。
夏は夜。
夏の夜は月夜がいい。ホタルが飛んでいればさらに言うことなし。
秋は夕暮れ。
夕日が山の稜線にかかり、鳥は塒に戻ろうと飛んで行く頃がいい。
冬はつとめて。
冬は早朝で、それも雪が降ったり霜が降りて寒さの厳しい中が良い。

まぁ、釣れるとか、釣れないは別にしてですね、
こんな風に学生時代に学んだ?清少納言を思い出しながら、
バスフィッシングに当てはめたりして、
清少納言風のシーズナル・パターン!
なんてぇ言うのはどうでしょう?
なかなかお洒落で意気な釣りになると思うんですよ。

 

さて、この意気と言う字ですがね、
「粋」とも書くんですが心意気を強調する場合は、
「意気」の方がしっくりきますね。

で、『意気で鯔背で男っぷりよく』に代表されるように、
身なりや振る舞いが洗練されて格好いいこと……なんですね。
しかし、僕の思う意気てぇのは、
人生において無駄なこと、役に立たないことを指すんですね。
他人様にとってはたいして役にも立たないことでも、
自分にとっては「心に大いに感じ入る」こと、
だと思うんですよ、僕は。

バスフィッシングを楽しもうが楽しむまいが、
その人以外にはどっちでも良いことですよね。
でも、バスフィッシングをしない人を蔑むことはないでしょ。
お前はバスフィッシングをしないから非国民だ!
なんてぇことを言う人は、ブームの最中でもいなかったよね。
まぁ、バスフィッシングに夢中な人が、
褒め称えられるてぇこともなかったんですがね。

 

で、他人の人生において無駄で役に立たないことであっても、
己れの心に感じるものがあったから……というような理由で、
そのことに対して一所懸命になって継続するのが意気なんですね。
だから、ブームが去った現在でも、
釣り場に立っているバスアングラーなら、
清少納言の枕草子の一段が理解できるだろう……と思った次第なんです。

確かに、春の時期は産卵を控えてのシーズンで、
楽しい釣りが期待できる予感ですよね。
山際の空がだんだん明るくなって、
紫がかった雲がたなびいていると、
第一投目には何を投げようか? なんて迷います。

 

この時期、シャローでザリガニを食べているようなバスには、
やはりスピナーベイトでしょうね。
ところで、シングル? それともタンデム? ブレードのカラーは?
思い悩む時間は心の踊る一瞬でもありますなぁ。

 

夏なら月明かりの夜もいいけれど、
ホタルの飛んでいる方向を目指して投げるの楽しい。
でも、なんと言っても暗闇での爆水音こそが一番の興奮ですね。
雨が降って月もない、漆黒の闇夜に乗じてのシャロー狙い、
トップウォーターゲームが楽しい由縁ですね。

その昔、グロー(夜光塗料)が施されたルアーが数多くあってね。
懐中電灯の光を当ててからキャストすると、
暗闇でボワ〜ンと光っているんですよ。
そんなルアーに、ザバッとバスが出たりして……面白かったなぁ。

 

秋は夕日が沈む頃からが楽しい時間。
暮れなずむ水面に、虫の声や風の音が響き渡る頃になると、
蝙蝠が飛んで行くルアーに反応して追従していきます。
まるで軽技をこなす複葉機のようですよ。

クランクベイトにひったくる様なストライクが届くのは、
決まってこの時期ですね。
食欲の秋だからでしょうか?
でもね、この感触が何よりも嬉しいんですね。

 

冬はキーンと冷えた早朝がいいですね。
雪が積もって人跡未踏であれば、
水辺に溢れたゴミも見ずに済みますしね。

そして、昼に近づけば近づくほど暖かくなるという確実さが、
心の中に期待と安心感を積み上げます。
やはり、シャッド系のSPルアーでしょうねぇ、この時期は。
水温が温むと言うのがカギになりますね。

 

と言う風にですね、
多くのバスアングラーが清少納言の枕草子を手本に、
心の余裕を持ってバスフィッシングを楽しんだら、
もう少し釣り場からゴミが無くなり、
きれいになるのでは……と思う今日この頃なんですよ。
でも僕自身、心の余裕を持てたのがつい最近のことなので、
あんまり偉そうには言えないんですがね。

 

ままままま、ゴミ拾いはともかく、清少納言の枕草子風にですね、
ゆったりと構え、季節を愛でたりなどしてバスフィッシングをすれば、
きっと心の余裕が生まれると思うんですね。
楽しみであるバスフィッシング、
心広く味わいましょうよ。

去る2009年5月17日に、
第26回 霞ヶ浦クリーン大作戦「53 Pick Up !」が開催されました。
その後も全国各地で「53 Pick Up !」が開催されています。
心に余裕のあるバスアングラーの皆さんには、
是非、ご参加いただければと思います。
詳細は、NPO水辺基盤協会のHPをご覧ください。
http://www.npo-mizube.org/