■ 舟子水路の顛末記

 

いやぁ〜、実に半年ぶりの投稿です。

ご無沙汰ですみません!

 

美浦村舟子の植生浄化施設と付随する水路の維持管理を、

霞ヶ浦河川事務所とNPO水辺基盤協会が、

一緒に行っているのは前々回に書いた通りです。

で、今回は2017年9月下旬から通水が始まった水路の

生物変化を報告しますね。全二回になります。

 

通水当時は手網でガサガサをしても、

期待するほどの成果はありませんでした。

堆積した落ち葉や泥がすくえる程度でした。

ところが、通水後一ヶ月もすると、水路の生物が増え始めていました。

 

10月の生物探索では、スジエビやテナガエビの他に、

ヒメタニシ、ウキゴリなどを採捕しました。

11月にはエビ類に加えて、ザリガニとヨコエビを採捕しました。

さらに、通水から三ヶ月が経過した12月の厳寒期には、

ブルーギルやタイリクバラタナゴなどを採捕することに成功しました。

 

 

流れる水の水路では、水生生物たちがその種や数を確実に増やし、

命の溢れる水路に変わってきたのです。

 

それは取りも直さず、僕たちの手入れが奏功したのだと自負しています。

水路に覆いかぶさり、水の行く手を阻んでいたヤナギを伐採し、

背丈以上に伸びて太陽光を遮っていた草を刈って、

水路に陽の光が当たような環境作りをしたことに他ならないでしょう。

 

 

あるがまま・・・自然をこう評する人がいますが、

人間が生活を営み、人間の便利さのために改変された環境は、

例え森林地帯であっても手つかずの自然、

或いは自然のままと論ずることは出来ないでしょう。

人間が自然に関わったのならば、

その後は自然と手を携えて歩むべきだと僕は考えます。

 

自然との関わり方を行政が強制するのはおかしな話です。

国民に向かってこれをやれとか、あれをやれとか、

さらにはこうしろとかの押し付けはね。

自然とのかかわりは、やりたい人、出来る人たちが、

高い意識を持ってするべきことだと思います。

例えば、外来種の駆除・・・なんてぇことも含めてね。

 

水路の周辺にもセイタカアワダチソウやアメリカセンダングサなど、

外来の植物が蔓延ります。

が、僕たちは生態系を破壊する・・・なんてぇ考えで、

草刈りを行っているわけではありません。

景観の保全と水路への太陽光の照射、野火やゴミの不法投棄の防止で

刈払い機を使って草刈りを行っているのです。

 

 

同時に伸びすぎたヤナギを伐るのは、強風による倒木を防ぐためです。

根が浅いヤナギなどの樹木は、葉の生い茂った状況下では、

台風などの強風で倒れることがしばしばあります。

この様な状況を防ぐために、ヤナギの枝払いを行っています。

切ったヤナギの枝には、防腐剤や虫除けを塗って腐るのを遅くします。

人間が手を入れると、どうしても無防備になってしまうからです。

 

そんなことがあって、年の明けた2018年1月の生物探索では、

厳寒期にもかかわらず生き物の捕獲数が倍増していました。

これには驚きました。

動く水の力を少し垣間見たような気がしました。

 

 

釣り人が国土交通省霞ヶ浦河川事務所と手を携えて、

霞ヶ浦の湖岸環境を作り上げて行く事業がスタートしました。

既存の施設を使って、霞ヶ浦の水質浄化に少しでも貢献できれば・・・。

それは取りも直さず、未来永劫に渡って、

霞ヶ浦でバスフィッシングが楽しめる環境作りに他なりません。

 

健康な水がある。健康な植物がある。健康な動物がいる。

昨今の日本は健康ブームですが、

僕たち人間の根幹を為す自然環境に於いては無頓着です。

山や森や川や湖・・・そして海、これらの自然環境を健康にすることが、

人間の健康を促進させる効果的な方法ではないでしょうか。

 

僕たちは20年以上に及ぶ霞ヶ浦の清掃活動を体験して、

フィールドで駆除すべき外来種は人間が排出したゴミである・・・。

と、自信を持って言えます。

 

命のある生き物たちを無闇矢鱈に殺すのは、

知恵ある人間のすべきことではありません。

憎むべきは自然環境に不法、不当にゴミを捨てて行く連中です。

釣り場を守り、自然を守る・・・それが水辺の清掃活動です。

そして、釣り人だから出来る活動なのです。

 

 

沢山のドジョウがいました。

水中ポンプから入り込んだとは思えないサイズのドジョウもいます。

彼らはどうやってこの水路に来たのでしょうか?

大きなザリガニもいました。

周辺の手入れと通水をしたことで、

この水路では僕らの想像を超える何かが起こり始めているのです。

自然って素晴らしいですね。

 

 

手入れをした水路の脇には、

それまで生えたことのないハンゲショウが姿を見せました。

ハンゲショウと言うのは夏の前に葉の半分を

化粧をしたように白くするからです。

7月の初旬も半夏生と言いますが、どちらが語源かは定かでありません。

 

その2に続く。